「いいチーム！」早実OB清宮幸太郎も絶賛の大社旋風…号泣エース馬庭優太とは何者か「味方のミスにも“全然大丈夫やから”」「これは打たれない」

　下半身が重い。大社のエース馬庭優太投手は試合前のブルペン投球で今までにない疲労を感じていた。

　1回戦の報徳学園戦は9回1失点で、2回戦の創成館戦は10回4失点（自責1）と2試合を1人で投げ抜いていた。創成館戦から中1日。馬庭は本調子ではない自分に不安を感じながらマウンドへ向かった。

周りの人のためにも投げないといけないんです

　マウンドに立って後方を見渡す。いつものように、信頼できる仲間がいた。アルプスはチームカラーの紫色で染まっていた。弱気な自分を断ち切って、打者と対峙する。相手の胸元には「WASEDA」の文字。ギアを入れない理由がなかった。

先発した馬庭　©JIJI PRESS

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「自分には心強い仲間と応援してくれる人たちがいます。周りの人のためにも投げないといけないんです。相手は強打の早稲田実業。マウンドに立ったら『自分しかいない』と気持ちが乗ってきました」

　先頭打者を打ち取り、早実打線のキーマンに挙げていた2番・宇野真仁朗選手を直球で空振り三振に斬る。その後、連打を許したが、5番・山中晴翔選手を直球でライトフライに打ち取った。

「早実に自分の直球がどこまで通用するのか試すつもりでした」

　馬庭は確かな手応えを得た。

後逸で得点を与えてしまったセンターにも…

　ギアをもう一段階上げる場面が訪れたのは、同点で迎えた7回表の守備だった。馬庭は先頭打者にセンター前ヒットを許す。二遊間をゴロで抜けるシングルヒットと思われた打球だった。ところが、大社の中堅手・藤原佑選手が後逸。打球がセンターのフェンス手前まで転がる間に、打者走者は一気にホームまで還ってきた。

　まさかの失点に、馬庭も両手を膝について数秒固まった。しかし、すぐに前を向く。マウンドに向かって両手を合わせて謝罪する藤原に対して、馬庭は両手を突き上げるように応えて大きくうなずいた。

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