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ランディ・バースが語った伝説の3連発「掛布の当たりは打った瞬間入ると思った」「岡田の打球は完璧だった」《1985年阪神優勝秘話》
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2023/11/04 06:15
1985年の阪神対巨人戦で、阪神クリーンナップによる「伝説のバックスクリーン3連発」の1本目を放ったランディ・バース
シリーズの下馬評では阪神は打つだけ、守りを含めた総合力では西武にはかなわない、というものがほとんどだった。結果的には4勝2敗で西武を破ることになるが、バースがいきなり3戦連発して、2勝2敗で迎えた第5戦では掛布の3ラン、勝負を決めた第6戦は長崎啓二(現・慶一)の満塁弾と、このシリーズも本塁打ばかりがクローズアップされることになる。
しかし、第2戦では7回1死一、三塁で辻発彦の一、二塁間へのプッシュバントをバースが素手でつかんで本塁に送球して同点の走者を殺すファインプレーを見せ、岡田と平田の二遊間コンビはシリーズタイ記録となる9つの併殺を完成させている。
守備力がモノを言う短期決戦。実はその1点を守りきれる守備の力も、日本一へと登り詰めたもうひとつの大きな理由だったわけである。
「監督に就任してチームを預かったときに、最初に着手したのが守りの強化、センターラインの強化だったんです。そうして岡田をコンバートして平田との二遊間を固めて、掛布とバースを含めた内野が完成した。やってきたことが間違っていなかった。最後の日本シリーズで、改めてそのことが証明されたような気持ちでした」
吉田は誇らしげにこう述懐している。