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“小学生からライバル”藤井聡太vs伊藤匠「2人で41歳」はタイトル戦最年少…佐藤康光立会人が「えっ、これは事件だ」と竜王戦で驚いたワケ
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph byKeiji Ishikawa
posted2023/10/09 11:24
竜王戦第1局、伊藤匠七段相手に先勝を飾った藤井聡太竜王・名人
在籍する5組ランキング戦で、石田直裕五段、井上慶太九段、服部慎一郎六段らに5連勝して優勝。決勝トーナメントでは、広瀬章人八段、丸山忠久九段、稲葉陽八段らに5連勝。そして、挑戦者決定三番勝負で永瀬拓矢王座に2連勝し、藤井竜王への挑戦権を得た。
伊藤は竜王戦でタイトル保持者や経験者、若手精鋭らに12連勝した。その中には負け将棋がいくつかあり、勝ち運に恵まれた。実力以上の何かが働いたともいえる。
なお竜王戦で5組からの挑戦者は初めてのケースだ。過去に4組からの挑戦者は、1998年の藤井猛七段、2004年の渡辺明六段など3例あった(※棋士の肩書は当時)。
藤井に対して「正攻法で向かっていきます」
伊藤七段は永瀬王座との対局後、初挑戦について次のように感想を語った。
「タイトル戦は憧れていた大きな舞台なので、非常にうれしい気持ちです。藤井竜王の将棋は、序盤、中盤、終盤のどこをとっても、隙がまったく見当たりません。将棋界の絶対王者という存在です。自分としては、ぶつかっていくだけです。竜王戦を盛り上げるためにも、何とか頑張りたい」
伊藤は後日に別のインタビューで藤井について、「現状では、かなり実力差があると感じています。ただ番勝負は、やってみないと分からないところもあります。1勝はしたいという気持ちではなく、タイトルを奪取する気持ちで臨みます。今回の竜王戦だけで終わる勝負ではないので、奇をてらわずに正攻法で向かっていきます」と語った。
2日制、持ち時間、封じ手、和服着用など初体験だらけ
2日制タイトル戦の竜王戦で初挑戦した伊藤にとって、地方での宿泊をともなう対局、前夜祭の催し、8時間の持ち時間、1日目の「封じ手」など、何もかも初体験だ。中でも和服を着用するのは課題だった。
過去には中原誠十六世名人、羽生善治九段がタイトル戦に初挑戦したとき、日程の関係で和服を誂える余裕がなく、洋服で対局に臨んだ。
伊藤の場合、挑戦権獲得から竜王戦第1局まで50日ほどあった。