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JリーグPRESSBACK NUMBER
SNSで話題「横浜F・マリノスのスタグル」は何がスゴいのか? 豪快肉料理や絶品スイーツに脱帽「夢の一皿」「どこの専門店にも負けない」
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2023/09/29 11:02
多くのサポーターを魅了する横浜F・マリノスのスタジアムグルメ。そのスゴさを味わうため、日産スタジアムで「食い倒れ取材」を敢行した
35度を超える灼熱の中を10分ほど歩いただろうか。スロープを通り、「トリコロールランド」と呼ばれる東ゲート広場に到着した我々の目に飛び込んできたのは、15時からの開店に向けて準備の最終段階に入っている多くのキッチンカーだった。
「まだ全然並んでないですよ。今なら食べ放題ですね!」
考えてみれば当たり前だ。なにせまだ開店前。いくらスタグルを楽しむ文化が定着しているとはいえ、さすがにキックオフの4時間30分も前から、しかも真夏の最も暑い時間帯から長蛇の列を形成するとは考えにくい。
それでも(もしかして混んでいるのでは?)という思いも確かにあった。なぜならばこの日の相手はFC東京。青赤のサポーターはアウェイの地に到着するなり地元の名店に大行列を作り、スーパーで売られているご当地惣菜を買い尽くし、スタジアムではビールの消費記録更新に熱心なことで知られている。そのターゲットには、当然スタグルも含まれる。
嵐の前の静けさを前に、我々は食い倒れ取材をスタートした。
サポーターを夢中にさせる「夢の一皿」
開店時間を迎えて、真っ先に購入したのは『GRILL TOKYO』のハットトリックセット(1500円)。ローストビーフ、ジャンボソーセージ、グリルチキンが豪快にライスの上に搭載された欲張りメニューだ。平日のランチ時にはオフィス街でキッチンカーを営業している同店だが、ハットトリックセットは日産スタジアムで提供するために開発されたスペシャルメニュー。限定100食が完売しない日はないという。
「まさに夢の一皿でしょう? 牛、豚、鶏、全てがそろっています」
そう笑いながら肉を盛り付けてくれた店主は、スタジアムへの出店で感じることを話してくれた。
「マリサポさんの熱量はスゴいですよ。なにせ、雨が降っても売り上げが変わらないんですから。キッチンカーって、普通は雨が降ったら“終わり”なんです。10年以上この仕事をしているんですけど、雨でも売り上げが変わらないイベントのお仕事ってほとんどない。コロナの影響でしんどかった時期もそうで、ここに来るとみんなが喜んでくれる。本当に助けられました」
試合が近づくにつれて、サポーターの待機列は長くなる。強烈な日差しの中でも、雨が降っていても、長い列が既にあっても。おいしい食事がそこにあれば、スタグル文化の発展と盛り上がりを後押ししてきたJリーグのサポーターは列を延ばすのだ。ピーク時には、大階段の下から上まで延びた列が、さらに折り返すほどになる。
サポーターを夢中にさせるグルメは、果たしてどれほどのクオリティなのか。食べて確かめるしかない。