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傷心の永里優季に「てか、なんでいないんだよー」宮間あやが気遣い、安藤梢が「トロフィーを長く持ちすぎで」笑いあった日〈なでしこW杯優勝の舞台ウラ〉
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFP/JIJI PRESS
posted2023/08/09 17:35
女子W杯を手に、笑顔の永里優季と安藤梢
「永ちゃん(永里)とは、やりやすい距離感があるんです。でも、チームのやろうとしていることを、もうちょっと2人で出来たらなと思いますけど。なでしことドイツ流のやり方とは、違うじゃないですか? だから、永ちゃんの言っていることもわかるけど、『なでしこのやろうとしていることもあるんだから』と話しているんですけど……」
永里にとっても、安藤は共鳴できるパートナーだった。
「感じている部分は結局、似ているところがあるので。だから、本当はアンチ(安藤)も下がりたくないし……」
皮肉なのは、永里のポジションを安藤が奪うことになった点だ。永里は語る。
「ドイツ戦で代えられた時点で、次はスタメンじゃないとわかってました」
ナホには攻撃だけじゃなくて、守備についても
一方、準決勝のピッチに立つ安藤には、迷いも遠慮もなかった。
「自分の方が今のチームのやり方には慣れていると思ったので、ナホ(川澄)には攻撃だけじゃなくて、守備についても話しました」
細かく指示を受けたことで川澄はすんなりとチームに入っていけたし、安藤はファーストディフェンダーとして、チームの守備にスイッチを入れるようになった。課題だった守備は機能した。この試合、ミスによる失点以外に、決定機は与えていない。許したシュートはわずか4本。6試合の中で最も少ない。
攻撃においても安藤の役割は変わった。この試合の2点目も3点目も、安藤の素早い動き出しがGKのミスを誘い、生まれたものだ。
「点をとりたいと思ったので、裏に抜けようと思ってました。永ちゃんとやるときは永ちゃんが前にいますけど、ナホとやるときはナホが結構下がるので、自分が前にいて、裏を狙える。DFラインとの駆け引きなんかも出来たかなと思うんです」