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大谷翔平とは「何でも言える関係だね」顔面骨折で無念の戦線離脱…盟友ウォードが語っていた“切実な願い”「ショウヘイに残ってもらいたい」
posted2023/08/03 17:03
text by
阿部太郎Taro Abe
photograph by
Getty Images
ブルージェイズの本拠地ロジャース・センターに集まった4万人を超える満員の観客から、ショッキングな声が漏れた。鈍い音が、ファンの心を凍らせた。
ボールが顔面を直撃…ウォードを襲った突然の悲劇
7月29日、エンゼルスが敵地トロントに乗り込んだ3連戦の第2戦。
ちょうど試合途中にロジャース・センターの屋根が開き、「室内」から「屋外」に変わったときだった。
アレク・マノアが投じた147kmのシンカーが、エンゼルスの4番テイラー・ウォードの顔面を直撃。鼻からは出血し、顔はみるみる腫れていった。
マウンド上のマノアも、塁上にいた大谷翔平も、突然の悲劇に頭を抱えた。
ウォードは動けず、その場でうずくまったままだった。数分後、カートに乗せられてグラウンドを後にし、病院に直行した。
翌日、試合後に病院に向かったエンゼルスのフィル・ネビン監督がウォードの状態を説明した。
「顔面に複数の骨折はあるが、不幸中の幸いで目には問題なかったようだ。少し話したが、彼は前向きだった。いつ戻れるかとかそんなことよりも、彼が大丈夫だったことにほっとした」
貴重な戦力を失ったエンゼルスは、すぐに代役を探した。ウォードが死球を受けた翌日、ロッキーズからランドール・グリチックとC.J.クロンという2人の大砲の獲得を発表。そして、同じタイミングでウォードは60日間の負傷者リストに入った。シーズン中の復帰は絶望的となった。
「エンゼルスきってのジェントルマン」の素顔
エンゼルスきってのジェントルマンといえば、ウォードだろう。チームメイト、ファン、そしてメディア。誰が相手でも分け隔てなく、優しく接する。死球を受ける1週間ほど前、「その性格はどこからきているのか」と本人に聞くと、こんな答えが返ってきた。
「両親の影響はかなり大きいと思う。2人とも社交的だったし、いろんな人のことを知ろうとしていた。だから僕も自然とそうなったんだ」