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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「井川は20億、オレは日給7000円で…」“戦力外通告ピッチャー”はなぜ公認会計士になれた? どん底人生を救った阪神時代の「野村ノート」
text by
栗田シメイShimei Kurita
photograph byL)JIJI PRESS/R)Shimei Kurita
posted2023/06/27 11:01
元プロ野球選手としては初の公認会計士に転身した奥村武博さん(右)。現役引退後に恩師である野村克也の言葉を思い出した
「結局、自分の経験を説得力のあるものにできたのが、プロ野球で成功してなかったということ。ビジネスの世界ではここが私の勝ちポイントなんですよ。再現性が高いって意味も含めて。成績が出なかった、早く戦力外通告を受けたっていうのも、今となっては自分の価値。それは井川や球児では出来ないことでしょ(笑)。
プロは才能の世界でもありますが、1つの物事への向き合い方、プロセスという点はビジネスでも同じなんですよ。目標を立て、そのために日々失敗をして、それを改善していくという繰り返し。それを究極的に高いレベルでやっているのが、NPBが通過点でしかなかった大谷翔平選手なのかな、と。結局、そこに気づくのが早いか、遅いか。それは私に限らず、多くの引退したアスリートにも同じことが言えると思うんですよ」
「月見草」とも言われ球界で愛された恩師の言葉の本質を、奥村は引退から20年以上が経過した今も噛み締めている。それを後進に伝え続けていく作業は続いていく。
「越えられない“壁”を自分で勝手に作ることだけは今後もするつもりはないですね」
元プロ野球選手から初の公認会計士となった男は、プロとして成功がなかったからこそ得たものも多い、と力強く話してみせた。
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