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「クボはノルマル(普通)よ」辛口おばあちゃんにバルで遭遇も…カメラマンが撮った久保建英21歳の“軽快ドリブル+母・祖母のような愛”
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/04/25 17:21
久保建英は途中出場ながら得意のドリブル突破を契機にラ・レアルに貴重な決勝点をもたらした
勝利後、同僚からの熱い祝福を受けた
勝ち越し後、イマノルは久保を呼ぶと、今度は戦術的なポジションチェンジを指示。久保は改めて左サイドにポジションを移した。
試合終了のホイッスルが鳴ると、久保はフェルナンデスの元へ駆け寄り喜びを分かち合った。またレミロ、セルロートの大型コンビからの熱い祝福を受けいれると、この日2アシストの活躍のアイエンとも改めて祝福し合った。さらにユニホームを子供ファンにプレゼントしていた。
今節、首位バルサが3位アトレティコ・マドリーに勝利し、2位レアル・マドリーとのポイント差11を維持したことで、リーガ優勝をほぼ手中にした。
またCL出場圏内4位のソシエダにとっては、5位ベティス、6位ビジャレアルの敗戦により大きな勝ち点3を上乗せすることができた。そして中2日の過酷な日程の中、次節ベティスとの直接対決に臨む。リーガの日程も残すところ8節となった。
おばあちゃんいわくタケは「ノルマル」
ソシエダのホームタウン、サン・セバスチャンへ何度も通い、なじみのホテル、バルもできた。今取材では合間を縫って、路面バスで郊外へ20分ほど、パサイアという港町を訪れてみた。
細長く伸びた湾の両岸を小さな連絡船がひっきりなしに行き来している。乗船料は1.10ユーロ。近頃は外国人観光客もここまでやってくるというように、小さな船にはいつも10人前後の客が乗っている。
町の広場では、子供たちがボールを蹴っている。入り組んだ路地を進むと、向こう側からHolaとパスしてくる少年がいた。
時がゆったりと進んでいる。
日陰のバルで一休みしつつ眺めていると、あることが気になった。
今日はソシエダの試合日だというのに、町にラ・レアルのユニを纏った人がいない。
隣で同じくゆったりくつろぐ男性に思い切って聞いてみた。
「そうだね、あっちとはやっぱりちょっと違うよね。そうだよ、当たり前だよ、ここら辺の人も皆、ラ・レアルのファンだよ(笑)」
〈お昼過ぎから中心部では、ユニ姿の人がたくさん歩いてるよね〉と問いかけると、ちょっとびっくりしながら「ここら辺では、1時間とか早くても2時間前になると、バルの前に集まってくるかな」。〈日本人選手の名前分かる?!〉と聞くと、Siと言ってから……ちょっと考え込み「Take Kubo」だろと答えてくれた。〈最近ちょっとチームの調子悪いね〉と返すと「元々そういうチームなんだ、勝てば喜ぶし、負けたって怒ったりはしないよ」
こんなふうに、ちょっと赤ら顔で気持ちよさそうに微笑んだ。子を見守る母のようにチームを見守るのだ。
試合撮影後、スタジアム近くのなじみのバルで仕事後の一杯を飲んでいると、店主が声をかけてくれた。〈最近のTakeはどう?!〉と気軽に質問してみると、隣席のおばあちゃんが、「ノルマル(普通)」とバッサリと斬り込んできた。さながら孫をしつける祖母の愛だろうか。
久保にとってはまだまだ加入1年目のシーズン、おばあちゃんの評価を変えるまでの時間はたっぷりある。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。