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岩谷麻優が“初の凱旋大会”で伝えた「キラキラでハッピーな感じ」客席から凄まじい紙テープ、ヒールの大江戸隊も楽しそう…記者が見た名場面
posted2023/04/16 17:02
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
団体1期生にして“スターダムのアイコン”と呼ばれる岩谷麻優は、同時に大の天然キャラであり“ポンコツ”としても愛されている。
試合後、マイクを握って観客に「○○のみなさん、こんばんはー!」とアピールするのだが、そもそも昼興行だったりするし会場(土地)の名前もよく間違える。
実はそれには理由がある。「どこで試合をするか、意識したことがないんです」と岩谷。会場が大きいとか小さいといったことも気にしたことがないそうだ。要はどんな場所であれどんなカードであれ、全力で闘うことに変わりはない、と。
「驚異的な客入り」岩谷キャリア初の凱旋記念大会
ただ3月18日の試合だけは特別だった。場所の名前も間違えなかった。生まれ故郷、山口(KDDI維新ホール)での試合。キャリアの中で初めて「凱旋記念大会」と銘打たれた。大会前にはプロモーションで帰郷し地元メディアに登場。SNSでも、満員にしたいという思いを訴え続けた。
当日の観衆は741人。完売ではないがほぼ満員となった。首都圏や5大都市以外での大会としては驚異的な客入りではないか。会場ロビーにはWWEのイヨ・スカイ(紫雷イオ)やくりぃむしちゅー有田哲平からのフラワースタンドも。
「やっぱり地元は人があったかい。みんなのほほんとしていて。言葉、方言からしてそう感じますね。“○○じゃけんね”とか」
PRで帰郷した際には、友だちが会いに来てくれた。メッセージをくれた人も。
「試合でも、入場した瞬間に“帰ってきた!”って気持ちになりました」
試合前にもあった“名場面”とは?
凱旋の祝福ムードを高めたのは、このメインイベントだけ特例で認められた紙テープ(の投げ入れ)だ。声援とともに、コロナ禍で禁止になっていた選手とファンのコミュニケーション。投げるテープは芯を抜いて巻き直す必要があるから、その作業を含めてファンの“愛”がこもる。紙テープとともに、選手はその愛を受け取る。
岩谷の名前がリングアナにコールされると、凄まじい量の愛がリングに降り注ぐ。体を回転させて紙テープでグルグル巻きになる岩谷。それ自体がもう名場面だった。
が、その瞬間に襲いかかったのが対戦相手の大江戸隊、刀羅ナツコ&スターライト・キッド&鹿島沙希である。ヒールユニットらしい奇襲であり、3人は徹底して岩谷を攻めた。凱旋マッチをぶち壊すことこそヒールの本懐だ。といって、彼女たちは単なる“敵”でもなかった。