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フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
羽生結弦のプロ転向は「とても賢い選択だと思う」 ハビエル・フェルナンデスが“今、ユヅに伝えたい言葉”《独占インタビュー》
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph bySunao Noto/JMPA
posted2022/07/23 11:04
2014年ソチ五輪の羽生結弦とハビエル・フェルナンデス。2人にとってお互いは、尊敬し合い、競い合う特別な存在だった
「ユヅは違う世界から来た」
「僕はそれほど大きな怪我はしていないんです。ちょっとした軽い捻挫で、1週間休めば回復する程度の怪我しかしませんでした。ラッキーだったこともあるし、また特に年齢を重ねてからはあまり無理をしないように意識していたこともあります。体調が良くないと、すぐにブライアンに伝えて、スケジュールを変えたりなどもしていました。でももちろん、どれほど気をつけていても難しいジャンプを跳べば、怪我のリスクはいつでもあります」
羽生は常に自分を限界までプッシュし続けた。そして数えきれないほどの怪我に苛まれ、それを乗り越えてきた。傍で見てきたフェルナンデスは、こう形容する。
「ユヅは大丈夫なのだろうか、もう競技を続けるのは無理なんじゃないか、と思ったこともありました。でも彼はものすごい才能があり、いつだって復活して、そして限られた短い時間で試合への調整をして勝つんです。それがユヅでした。まるで違う世界からやってきたみたいに。滑るということが、彼の身体の血の中に流れているのだと思う。彼の1日のトレーニングは、他の人間にとっての1週間分の価値があるのかもしれません」
フェルナンデスから今の羽生へおくる言葉
プロになった羽生に、どんな言葉をかけてあげたいか。そう聞くと、フェルナンデスはこう答えた。
「僕自身、競技のトレーニングをしない日々に慣れるのに長い時間がかかりました。自分のスケジュールが決まっていない中で、生活のペースを取り戻すのは大変でした。だからユヅがプロになってもトレーニングを続けていく、と言ったのはとても賢い選択だと思う。逆にぼくはユヅに聞いてみたいです。こうしてプロに転向することを決めて、今どんな気持ち? って。これからも活動的に、そして自分の好きなことをやって行けばいいと思います。何をやるにしても、楽しんで欲しいと思う。応援しています」
フェルナンデスは、新たな門出を迎えた羽生にそうエールをおくった。
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