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「杖が2本ないとつらい」“黒のカリスマ”蝶野正洋(58)が治療を行う現在を告白…“人前で杖は恥ずかしい”と思わなくなった深いワケ 

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2021/12/31 11:12

「杖が2本ないとつらい」“黒のカリスマ”蝶野正洋(58)が治療を行う現在を告白…“人前で杖は恥ずかしい”と思わなくなった深いワケ<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

プロレスラーとして、バラエティに啓蒙活動など様々なチャレンジを続ける蝶野正洋に、その原動力や現在の心境について聞いた

三沢光晴さんの事故で抱いた恐怖「このままだと俺もいつか…」

――蝶野さんが、そういった啓蒙活動を始めるきっかけはなんだったんですか?

蝶野 最初にやったのは、救命救急のAEDだったんですよ。プロレスという体を危険にさらす仕事をしていながら、自分がそういったことに無知だったことに気付かされて。俺らの世代は何かあれば119番だったけど、今はそれにプラスして「AEDを持ってきてください」っていうことに変わっていること自体知らなくて。これは俺らの世代や、もっと上の世代にはAEDというものがなかなか伝わってないな、と。自分自身もうちょっと勉強しなければいけないし、これを伝えなきゃいけないと思ったのがきっかけですね。

――それは三沢光晴さんの試合中の事故や、同期の橋本真也選手が40歳という若さで亡くなられたことも影響してますか?

蝶野 橋本選手が亡くなったときはものすごいショックで、三沢社長のときはリング上での事故だったから、俺にもちょっと恐怖感が出てきちゃって。このままだと俺もいつか……っていう不安もあったしね。

――三沢さん同様、蝶野さんも首が悪いわけですしね。

蝶野 それもあったし。またあの頃は、ちょうど試合中の事故が立て続けに起こっていた時でもあったので、「このままだと、また同じように誰か仲間が犠牲になるんじゃないか」という思いもあってね。それで自分に何かできることはないかと考えたとき、昔一度習ったことがある救命救急というものをもう一回習ってみよう、と。

 それがきっかけで東京消防庁から「蝶野さん、いまAEDの啓発がどうしても必要になってきてるので、手伝っていただけますか?」って言われて。そこからAEDの啓発イベントなんかにちょくちょく呼ばれるようになって、お手伝いをしてっていう状況ですね。

――そういう啓発活動をするためにも、幅広い層への知名度が必要だと。

蝶野 やっぱり消防の人たちも救急救命の啓発をやってるんだけど、なかなか関心を持ってもらえないのが悩みの種だったんですよ。そこは俺が客寄せパンダになって少しでも興味を持ってもらえればいいし。あとYouTubeを始めたのも若い世代にアプローチするためだったんだけど。その内容がバラエティ的なものだと再生回数が何十万回とか、いい時は100万回いったりするんだけど、啓発系だと千回とか何百回ということもあるので、そこはこれからの課題ですね。

【次ページ】 「杖をつくのが恥ずかしかった」蝶野を変えた天龍源一郎の姿

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