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《DeNA1位》小園健太を“ドラ1”に成長させた“智弁和歌山”との3年間…野球以外の楽しみは“Netflixで韓ドラ”
posted2021/10/11 18:10
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Noriko Yonemushi
「ちょっと悔しなった笑」
今夏の甲子園決勝で、智弁和歌山が奈良代表・智弁学園を下し21年ぶりの優勝を決めた日、市和歌山のエース小園健太は、ツイッターでこうつぶやいた。
市和歌山は、和歌山大会決勝で智弁和歌山に1-4で敗れ、春夏連続甲子園出場の夢を断たれていた。
その敗戦後、小園は泣きはらした目で、しかし清々しく、「智弁和歌山さんには絶対に甲子園で勝ってもらって、自分たちが行けなかった分まで、甲子園でしっかり暴れてきてもらいたいなと思います」と語っていた。その言葉に嘘はない。だがそう簡単に吹っ切れるものでもない。
「本当に智弁和歌山に優勝してほしいと思っていましたし、毎試合ずっと応援していたので、甲子園で優勝してくれて、うれしい気持ちが最初にきたんですけど、やっぱりその喜んでる姿を見たりしていると、自分たちも甲子園に行きたかったなって思いましたし、『自分たちが甲子園に出ていたら、どこまで行けてたんだろう?』と思って……。うれしい気持ちのほうが大きかったんですけど、やっぱり悔しい気持ちがありました」
今でも少し悔しさをにじませながら、そう振り返る。
甲子園のマウンドに小園健太はいないのに、智弁和歌山が勝ち進むにつれ、小園の存在が大きくなっていく。今夏の甲子園はそんな不思議な大会だった。
小園君に勝ったことが自信に(中谷監督)
智弁和歌山が勝つたびに、試合後は中谷仁監督や選手の口から小園の名前が自然と出てきた。
準決勝で近江の好投手・山田陽翔から適時打を放った大仲勝海は、「(山田は)変化の小さい変化球が多いので、小園投手に対するのと同じような考えで、打席の前の方に立って、浮いてくる変化球を一発で仕留めようと考えていました」と語った。
中谷監督も、何度も小園の名前を出しながらチームの成長を表現した。
「県内に小園君という素晴らしいピッチャーがいて、この学年は、秋にそのチームに連敗し、『あのピッチャーを打ち崩せるのか?』というところから始まった。県予選で1つの大きな壁、小園君という好投手を超えられたというのが自信になって、甲子園では『小園君に比べたら、何とかなるんじゃないか』という気持ちで戦えたんじゃないか。小園君、松川(虎生)君のバッテリーがいてくれたおかげでここまで来たと言っても過言ではない」
甲子園では初回から積極的なスイングで好投手を次々に攻略し、初戦となった3回戦から決勝までの4試合すべてで二桁安打を記録した智弁和歌山打線を、もっとも苦しめた投手として、小園の名前もこの夏の記憶に刻まれた。