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「オノの股抜きシュートに驚愕した」「クボも上手くて賢い系譜を…」小野伸二18歳のW杯初陣に“世界的名将”はビビった

posted2021/09/27 17:04

 
「オノの股抜きシュートに驚愕した」「クボも上手くて賢い系譜を…」小野伸二18歳のW杯初陣に“世界的名将”はビビった<Number Web> photograph by Getty Images

18歳にしてジャマイカ戦でW杯初出場を果たした小野伸二。その才能は敵将も脅威に感じていた。

text by

沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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Getty Images

9月27日は元サッカー日本代表・小野伸二の42歳誕生日です。数々の伝説をピッチで残してきた天才が、W杯デビューを果たしたのは1998年フランス大会。その対戦相手だったジャマイカを当時率いた“世界的名将”に、試合とともに小野の凄さを振り返った記事を再公開します(初公開:2019年9月1日、肩書などすべて当時)

 柔らかく繊細なタッチでボールを意のままに操り、ピッチ上の味方を含めたすべての選手と観衆の想像を超えるプレーをいとも簡単にやってのける――。

 今から21年前、18歳の小野伸二が浦和レッズと日本代表で与えた衝撃は、現在、我々が久保建英(レアル・マドリー→マジョルカ)を見て感じる驚きや喜びに匹敵するものだった。

 日本サッカーが生んだ最初の天才は、40歳の誕生日を控えた8月初め、惜しまれながら北海道コンサドーレ札幌を去り、本州を飛び越えてFC琉球へ舞い降りた。

 フランスで行なわれた1998年ワールドカップ(W杯)で、その小野を含む日本代表と対戦して2-1の勝利を収めたジャマイカ代表の監督が、ブラジル・リオデジャネイロにいる。

 レネ・シモンエス、66歳。

 プロ選手としての経歴はなく、1978年、25歳でブラジルの小クラブで指導を始めた。中東のクラブなどを経て、1994年から2000年までジャマイカ代表を率い、同国サッカー史上初めて地域予選を勝ち抜いて1998年W杯に出場。しかも初勝利を挙げて国民的英雄となった。

 その後、ホンジュラス代表監督などを歴任し、2004年のアテネ五輪でブラジル女子代表を率いて銀メダルを獲得。2017年に監督業から退き、以後、自らの経験をプロ監督に伝授する「指導者の指導者」という分野を切り開いている。

 指導歴40年を超える名将に、21年前の日本戦を振り返ってもらった。

国民性、強みと弱みを研究した

――1998年W杯の組み分け抽選の結果を知って、どう思いましたか?

「バティストゥータ、ベロン、サネッティら世界トップクラスの選手を揃えたアルゼンチンにはとても歯が立たない。しかし、日本、クロアチアと互角以上に渡り合ってグループ2位になるのは可能――。そう考え、日本とクロアチアを徹底的に分析した」

――大会前、日本代表をどう評価していたのですか?

「日本には何度も行き、代表や代表選手がいるチームの試合を観察した。チーム、選手を分析したのはもちろんだが、最も力を注いだのは日本人の国民性を知ること。何が強みで何が弱点なのかを研究した」

【次ページ】 中田英寿を徹底的に抑え込もう

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