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久保建英を間近で撮って気づいた《試合前ルーティンとファールを受けた後のクセ》 韓国の至宝イ・ガンインとの共存はどうなる?
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2021/09/16 11:00
W杯予選からスペインに戻り、さっそく先発出場した久保建英
チームでの集合写真を撮り終わると久保は……
キックオフ前のチームフォト。マジョルカは青色ユニでの試合となりました。久保はチームフォトが終わると、ペットボトルの水を手足や顔にかけるのがルーティンになっているようです。
円陣を組んだ後は、右サイドバックのマフェオと声をかわしていました。
試合開始早々、高く上がったボールが久保の近くに落ちてきました。そのボールを見事にワンタッチで前方にコントロール。そこからビルバオDF2人の間を通したものの、味方との意思疎通が合いませんでした。
GKとDFの間にフィードされボールの処理が中途半端になりかけたところに、前線から激しくプレスをかけていきます。立て続けにボールに絡むプレーがあり、この日の出来を期待しました。
前節勝利の立役者ダニ・ガルシアが突破を見せます。ただこの日は、久保とのコンビネーションはそこまで見られなかったように思いました。一方でトップ下に入った久保は、中盤にできたビルバオ陣のギャップでボールを受けるや否や、左サイド前方にスルーパス。大きなチャンスを作りました。
自陣深くのサイドライン際で、空中のボールを胸トラップから左足でコントロール。そこを狙いにきたDFに対しても、すかさず右足でボールを運び見事にかわしましたが、わずかにボールがラインを割っていました。
序盤、五分に試合を進めているように見受けられましたが、徐々にビルバオが圧を強めていきます。また、マジョルカの前プレスに若干の戸惑いをみせていたビルバオDF陣が、マジョルカの圧に屈しないようになり、プレスをかいくぐるパスを回すようになってきました。ここまではマジョルカの想定内の試合運びか、マルセリーノ監督を見るルイス・ガルシア監督からは余裕を感じられました。
久保に散見される“プレーを止める”場面
さらには久保のプレッシングから相手GKのパスミスが生まれ、久保がボールの保持を狙いましたが、ビルバオDFのビビアン(その後先制ゴールを決めます)が冷静に対処、逆に久保がファールを取られました。
中盤のサイドに降りてきた久保がボランチのガラレタからのパスを受け、逆サイドに展開。なかなかボールを保持できない時間が続く中、チャンスを創出します。ビルバオが空中戦を厭わない戦いを挑んできたこともあって、いつも以上に久保にもヘディングの機会がありました。
マジョルカは数少ないながら、ビルバオゴールにあと少しまで迫る場面もありました。ビルバオに支配される中で、攻撃だけでなく守備でも奮闘を見せる久保でしたが、以前から散見されていた“相手のファールをアピールする際、プレーを止める”場面がこの試合でも何度かありました。
アピール自体は必要だと思います。ただその一方で、今の久保は以前より倒れてしまわないフィジカルを持っていると思うので、この場面でもプレーを続けていれば、チャンスが生まれていたのでは――と個人的には感じました。