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部活が大変なことに…「レギュラーは練習OK、補欠は自宅待機」 生徒を分断する異常ルールを生んだ「質より量のブラック文化」
text by
島沢優子Yuko Shimazawa
photograph byGetty Images
posted2021/05/11 11:00
今、国内の一部の学校で異常なルールの下「試合のためだけの部活」が行われている
レギュラーは練習OK、補欠は自粛
自身の健康か、部活での果実をとるか。揺れる高校生は、それと同時に家族との暮らしに悩みを抱える。同居する家族にコロナ陽性者が出ると、自身は濃厚接触者になって2週間は活動を控えなくてはいけない。
男性顧問が他校の教員に聞いた話によると、第3波が押し寄せた1月の府新人戦中に、部員の保護者や兄弟が陽性になり、家庭内がぎくしゃくしたことがあったという。なかには、家族に熱が出ても病院に行かせないケースもあった。PCR検査で陽性と判定されたら、部員であるわが子が濃厚接触者になってしまうからだ。これと同じことが再び行われる可能性は否定できない。例を挙げれば、高知県では5月6日現在、高校女子バレーボールの県大会関連のクラスターによる感染者数は32にのぼる。陽性となった部員の母親への二次感染も判明している。
しかも、大会に備えて練習するのはレギュラーだけで、そのほかの生徒は自宅待機の学校もあるという。感染確率を下げるリスク管理のためといえばそれまでだが、これでは生徒が分断されてしまう。
「主力選手だけが活動なんて、意味不明なルール」
この「レギュラーはマスク練、補欠は自粛」の分断は、大阪府と同じく緊急事態宣言が発令されている東京都でも起きている。
都内の私立高校でサッカー部の顧問を務める教員によると「公式戦があるならば練習はOK。ただし、練習していいのは出場する選手だけ。そして敗退した時点で活動停止」になる。これは都立高校に倣うかたちだという。
種目の枠を超えた連携を目指すスポーツコーチユニオン・REVERSE代表を務める久保田大介(48)さんは「大会に出場する主力選手だけが活動していいなんて、意味不明なルール。部活動は教育の一環ではないのか。これでは生徒の分断を生んでしまう」と疑義を唱える。