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40歳で異例の最高峰スペイン1部初挑戦… フットサルのレジェンド森岡薫は今、何を?<独占インタビュー>
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byDaisuke Nakashima
posted2021/05/09 17:00
40代にしてスペイン挑戦を決めたフットサル界のレジェンド森岡薫に話を聞いた
「まだ日本にも帰りたくなかったし、もっと結果を出したかった。プレーオフを目指せるチームだったと思うから、余計に悔いが残りましたね。僕らがコントロールできることではないんで、仕方ないと考えるしかなかった」
そのままレギュラーシーズンは打ち切りとなり、年間王者を決めるプレーオフには中断時点の上位8チームが進出。10位だったオパルロはこの時点でシーズン終了となり、半年間の契約を結んでいた森岡は6試合出場1ゴールという結果を残して帰国することになった。
W杯延期に「まさかもう1年」
そして帰国後、さらなるショックが森岡を襲う。昨年9月に予定されていたワールドカップの翌年への延期が発表されたのだ。
「年齢的に41でぎりぎりだったのに。まさかもう1年っていうのは、大きな打撃でしたね。ここでもうチャレンジするのやめようかなって思いました」
41歳で迎えるはずだったワールドカップは、森岡が現役生活の集大成と位置付けていた目標だった。それが思いもよらぬ形で1年後に先送りされたことで、一時は心が折れかけた。
しかし、そんな矢先にオパルロから契約更新のオファーが届いたことで、森岡は1年後のワールドカップに向けて再び歩みはじめる。
「また挑戦できるチャンスが来たことで、可能性を感じさせてくれたんですよね。延期じゃなくて4年後となっていれば来ていなかった。去年来たのも、ワールドカップに万全な準備で行くためだったので」
この言葉からも分かる通り、森岡のワールドカップに対する思いは人一倍強い。そしてその思いを理解するためには、彼のルーツを紐解いていく必要がある。
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