渡辺　僕はマヂカルラブリーでしたね。僅差ですけど、僕がいちばん笑ったのはマヂカルラブリーでした。

長谷川　僕もマヂカルだと思いました。単純に、笑い声がいちばん大きかったと思うので。

――マヂカルラブリーが優勝し、巷では、あれは漫才か否かという漫才論争が巻き起こりました。あの現象について、どう思われましたか。

渡辺　マヂカルが漫才に革命を起こしたということだと思います。

――その証拠ですよね。

渡辺　じゃないと論争なんて起こらないですから。彼らは動きと言葉で掛け合っていた。野田の動きは、半端じゃないですよ。誰も真似できない。しゃべった方が、はるかに簡単だと思いますけど。

――渡辺さんは昔から野田さんのことを知っているんですよね。

渡辺　基本的なボケ方は、まったく変わらない。あと、どの舞台を見ても、絶対にいちばん笑いを取ってやるんだという、闘争心剥き出しな感じもまったく変わりませんね。

小峠「なんであのネタやったんだ！」

――大会が終わってから、事務所（SMA）の方々の反応はいかがでした？　たとえば、SMAのリーダー的存在であるバイきんぐの小峠さんとか。

渡辺　小峠さんには「普通にやれば、優勝できるから」って言われてたんです。冷静にメンバーを見て勝機は十分にある、と。ただ、大会後、会うなり「なんであのネタやったんだ！」って言われて。「俺もパチンコわかんねえよ」と。

――松本さんと同じ反応……。

渡辺　何にも言えませんでしたね。ただ、僕らより悔しそうにしてくれていて。それは嬉しかったですね。

――お2人のM-1人生は、まだまだ先が長いですよね。

長谷川　まだ7回出られるのかな。

渡辺　大変っす。雅紀さん、56歳まで出られちゃうからな。

長谷川　決勝に出続けることができれば、毎年、最年長記録を更新することになる。

――M-1は漫才師を名乗る以上、出ないわけにはいかない大会でもありますもんね。

渡辺　われわれにとっては兵役みたいな感じ。優勝して、もう出なくていいとなったら、出所みたいな気分になるんじゃないかな。

（【初回を読む】最年長ファイナリスト錦鯉（49歳＆42歳）初のM-1を振り返る「島田紳助さんは僕らをどう感じただろう」　へ）

（写真＝山元茂樹）