Number Web MoreBACK NUMBER

3年前の偉業に羽生結弦の涙が止まらなかった理由 「ケガしてよかった、とは絶対に思いません」

posted2021/02/17 06:00

 
3年前の偉業に羽生結弦の涙が止まらなかった理由 「ケガしてよかった、とは絶対に思いません」<Number Web> photograph by Tsutomu Kishimoto/JMPA

1948年サンモリッツ、'52年オスロを連覇したディック・バトン(米国)以来66年ぶりの連覇。歴史的偉業を達成した羽生。

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph by

Tsutomu Kishimoto/JMPA

2018年2月17日に羽生結弦選手が平昌オリンピックで金メダルを獲得しました。3年前の今日成し遂げられた歴史的な偉業を振り返る記事を特別に再公開します。(初出:NumberWeb 2018年2月17日/肩書などすべて当時)

 2月17日、羽生結弦は歴史的な偉業を達成した。

 6分間練習のために姿を現した瞬間から拍手と歓声が起こる。曲は『SEIMEI』。演技がスタートした。

 冒頭に予定するのは4回転サルコウ。6分間練習ではしりもちをつくなどしたが、試合ではクリーンに着氷する。4回転トウループ、トリプルフリップも成功。

ADVERTISEMENT

 長いブランクから懸念されていたのはスタミナだった。だがそれが杞憂であるかのように、後半最初のジャンプ、4回転サルコウ+トリプルトウループをきれいに決める。

 続く4回転トウループ-シングルループ-トリプルサルコウのコンビネーションジャンプは、はじめのジャンプでステップアウトして単独の4回転トウループになった。ただ、その後に予定していたトリプルアクセル-ダブルトウループを、トリプルアクセル-シングルループ-トリプルサルコウに切り替えてリカバリーを図る。

 そしてトリプルループを決め、最後のトリプルルッツは体勢を崩しながらも懸命にこらえた。

あらゆる要素が向上しての金メダル

 フリーの得点は206.17。総合得点は317.85。この時点でトップに立った羽生は、続くハビエル・フェルナンデス、宇野昌磨に抜かれることなく、そのまま1位を保って連覇を達成した。

 勝利を掴んだ要因をあえて1つあげるなら、総合力にほかならない。ジャンプ、スピン、ステップ、あらゆる要素を、非の打ちどころのないところまで羽生は向上させてきた。

 ジャッジスコアに目をやれば、2つのジャンプのミスこそあったものの、それ以外の11の要素のGOEのほとんどには、最高を表す「+3」という数字が並んだ。プログラムコンポーネンツには、9点台後半という高い得点がずらりと並んでいる。

【次ページ】 どのジャンプも、体が覚えていた

1 2 3 NEXT
#羽生結弦
#宇野昌磨
#ハビエル・フェルナンデス
#平昌五輪
#オリンピック・パラリンピック

フィギュアスケートの前後の記事

ページトップ