草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
中日快進撃の中心はエース大野雄大。
マー君以来の4連続完投、不安はFA。
posted2020/08/27 11:40
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Kyodo News
真夏の快進撃で、ついには巷で「中日最強説」まで飛び交うようになってきた。あながち誇張でもない。8月に入って12勝7敗2分け。最下位から3位争いを演じるまで浮上し、最大9あった負け越しも2まで減らしている(以下、データはすべて8月25日現在)
原動力は強力投手陣。そして、その中心にいるのがエースの大野雄大である。
8月23日のDeNA戦(ナゴヤドーム)で今シーズン初完封。7月31日のヤクルト戦(同)から始まった連続完投勝利を「4」まで伸ばした。
この記録のすごさを説明する。まず、この記録は2013年の田中将大(楽天)以来。24勝無敗で日本一に導いた、あの神がかったシーズンである。
そして、今シーズンのチーム別完投数では、中日のトップの「5」。このうち4が大野だから、除外する。2位が広島の「4」。パ・リーグにいたっては「1」が5チームで並び、西武はまだ完投投手が出ていない。
分業制が確立、調整が難しい今季。
分業制が確立して久しく、まず球数が少なくないと完投はできない(大野は最多で128球)。くわえて今シーズンは新型コロナウイルスの感染拡大によって、選手は厳しい調整を強いられており、負担がかかる完投は極力避ける傾向にある。昭和はもちろん、平成でも前半の登板スタイルとは比較できないのである。
それだけに、大野は4試合連続完投は「ホンマに無理やと思っていた」という。もちろん投球数が理想的(112球)だったことは大きいが、心を奮い立たせるきっかけがあったという。
「僕が投げない6日間で僕以外の選手が必死にプレーしているのを見ているうちに、だんだんと力が湧いてきたんです」
試合後のヒーローインタビューで、何人ものファンが目を潤ませたという名文句。与田剛監督も「まさしくこれがエース。ベンチやブルペンを慌てさせない投球でした」と手放しで称えた。