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レイドロー獲得で2つの「V」実現へ。
ラグビーNTTコムGMが語る将来像。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFP/AFLO
posted2020/08/08 09:00
NTTコムに加入するレイドロー。内山GMはプレーだけでなく、長年スコットランドを牽引してきた発信力にも期待している。
地域や会社にラグビーを活用してもらう。
ラグビーチームはダイバーシティでもある。「韓国人とニュージーランド人とトンガ人が日本語で喋っているとか、面白いじゃないですか」と、内山GMは笑みをこぼした。
「ウチのチームだと、現在は7つの国籍の選手がいます。プロと社員で業務形態が異なり、多国籍の選手たちが同じ目的に向かって組織を作っていく構造は、スポーツの世界ではあまりないでしょう。そこでの1人ひとりの人間形成や、管理者とかリーダーの学びは、企業活動や社会活動に生かすことができる。我々はそういうものをオープンにしていきます。ホームエリアの企業や学校からなどの依頼に向き合うだけではなく、自分たちの地域や会社の課題を解決してもらうためにラグビーを活用してもらう。そういうフェーズに移ってきたと、僕は考えています」
内山GMが期待するレイドロー効果。
過日発表されたグレイグ・レイドローの獲得も、2つの「V」を追求するための手段だ。スコットランド代表として'15年と'19年のW杯に出場し、76キャップのうち39キャップでキャプテンを務めた34歳は、「つねにスペースを活用してアタックをし続ける」NTTコムのラグビーを進化させるだろう。「途中で打ち切られた19-20シーズンを含め、過去5シーズンで3回トップ5入りしていますが、ベスト4の壁を超えることができていない」(内山GM)チームを、まだ見ぬ高みへ押し上げる期待も寄せられる。
そのうえで内山GMは、レイドローの発信力に着目する。世界的なスクラムハーフを介することで、クラブ発の情報が広く深く伝わっていくに違いないからだ。
「それも彼に果たしてもらいたいミッションで、私自身は戦力強化と同じくらい重きを置いています。彼が持つリーダーシップやキャプテンシーを言語化すれば、会社の経営者や管理職の人たちへの気づきとなるフレーズも出てくるのだろうと考えます」