オリンピックへの道BACK NUMBER
MGCを制するのは速さか、強さか。
東京五輪を狙う実力者たちが集結。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2019/09/08 11:30
初代「山の神」今井正人(一番左)や三代目「山の神」神野大地(一番右)など箱根駅伝のヒーローも出場。
ペースメーカーの不在。
ただ、マラソンの順位は速さだけにとどまらず、持ちタイムだけで決まるものでもない。ゴールまでの道中にさまざまな駆け引きがあり、思わぬ展開が待ち受けているからだ。
そういう意味で浮上してくるのが井上大仁だ。2017年の世界選手権こそ、日本3選手の中で最下位に終わったが、その後着実にステップを踏んできた。昨夏、湿度と気温が高いジャカルタでのアジア大会では、最後の最後までもつれる中、優勝を果たしている。「勝負強い」と言われるゆえんである。
服部勇馬もまた、「強い」と評される選手の1人。昨年12月の福岡国際マラソンで優勝している。
そんな選手たちが集結する大一番で見逃せないのが、ペースメーカーの影響だ。
多くのマラソンでは、一定のペースでレースを引っ張るペースメーカーが存在するが、MGCではいない。その分、選手同士が駆け引きしつつ、どうペースを作り走るのか、それが勝敗を左右する。
ましてや、互いの手の内を知る選手たち同士の対決だ。レースの組み立ても相当に考えているだろう。臨機応変に対応する力があるかどうかも、問われる。
気候やコースへの対応力。
また、当日の気候も勝負を分ける重要な要素となる。
9月になり、やや気温が落ち着く日と残暑の厳しい日がある。どの選手も暑さ対策を立ててきたとはいえ、選手によって強弱はある。
コースそのものもまた、レースに響いてくる。スタートとゴールこそ新国立競技場が完成していないため異なるが、東京五輪と、ほぼ等しいコースを走る今回、37km付近からは、上り坂が続いていくことになる。ここまで長い距離を走って消耗した上でのことだから、そこでどのような走りができるのかもまた、レースにかかわってくる。
速さか、強さか。あるいはその双方をあんばいよく兼ね備えた選手か。
国内上位の選手たちが一堂に会するMGCは、どのような結果に終わるのか、
戦いの火蓋は15日の午前8時50分に切られる。