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山中慎介とボクシング業界の危機感。
プロ選手は全盛期の半分まで激減。
posted2019/06/26 08:00
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
AFLO
ボクシング界に新風を吹き込もうと、バンタム級のホープたちがトーナメントで優勝を争う「山中慎介 presents GOD'S LEFT バンタム級トーナメント」が7月23日、後楽園ホールで開幕する。
出場選手は若手ホープたちで、A級ボクサー(8回戦以上の試合ができるA級ライセンス保持者)7人。優勝賞金は100万円で、スポンサーから副賞が贈られる。これだけなら珍しくないが、今大会はWBCバンタム級王座を12度防衛した山中慎介さんがアンバサダーになっているところがみそだ。
大会を主催するDANGANは、いま国内で最も多くのボクシングイベントを開催しているプロモート会社だ。35歳の古澤将太代表は次のように説明する。
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「ホープたちが出ているトーナメントなんです、と言ってもなかなか注目してもらえません。そこで山中慎介さんの冠をつけて注目を集め、これからの選手たちの知名度アップにつなげたいと考えました」
山中さんはただ名前を貸すだけでなく、記者会見や抽選会に顔を出し、試合でプレゼンターを務めるなどして大会をアピールする。現役時代、試合に勝つと自分へのご褒美として腕時計を買っていた経験から、優勝者に高級腕時計をプレゼントしようと言い出したのは山中さん本人だ。なかなかのやる気である。
ボクシング界が抱えるシビアな現状。
注目度を上げようとすることはどんなスポーツやイベントにとっても当たり前の話であるが、ここからは今大会が開催にいたった背景に踏み込んでいきたい。そこにはボクシング界のシビアな現状が見えてくる。
昨今は世界チャンピオンの数が増えると同時に、“無名の世界チャンピオン”が増えたことは、スポーツファンならいまや常識であろうか。
6月24日現在、日本人の男子世界チャンピオンは暫定王者2人を含めて計7人。確かに多く、埋没するチャンピオンが出てくるのは確かだろう。でも、それだけが無名世界チャンピオンの生まれる理由なのだろうか。古澤代表は次のように話す。
「大切なのは世界チャンピオンになるもっと前から知名度を徐々に上げていくことだと思います。たとえ実力があって世界チャンピオンになったからといって、それまで無名の選手がいきなり有名にはなれません」
早い段階から注目を集める努力をして、その選手が日本タイトル、世界タイトルと階段を上っていくストーリーを提供できれば理想的だ。だからこそ、トップだけでなくもう少し下の層にも目を向けてもらいたい。山中慎介トーナメントにはそのような狙いがある。