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逸材は高卒1年目でも二軍で打つ?
根尾、藤原、小園が超えるべき数字。
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byKyodo News
posted2019/06/06 11:30
高卒ドラフト1位トリオの中でも、特に中日・根尾は、ウエスタン・リーグの打率が1割台前半と苦しんでいる。
苦しんだ浅村は2年目から一軍に。
この中で実際に1年目に一軍の戦力となったと言えるのは森と清宮だけと考えていいだろう。逆に言えば一軍戦の経験の有無はチーム順位や育成方針に左右されることが多く、その後の活躍とほとんど関係はない。
打率から見た場合、最も「二軍の壁」に苦しんだのは浅村ということになる。その浅村にしても、2年目には一軍戦力となり、3年目にはレギュラーの座を勝ち取っている。
12人のうち、安打数を三振数が上回ったのは中田(50安打と52三振)、浅村(76安打と84三振)、清宮(39安打47三振)だけ。すべての三振が「壁」というわけではないが、二軍だと場面にかかわらず積極的に振っていくことが多いため、ファウルや空振りを重ねた結果の三振だと推察できる。
「打てなくても……」とは言えない高卒1年目。
おわかりのように、12人は誰一人として打率1割台ではルーキーのシーズンを終えていない。後に日本を代表する打者に成長する逸材にとって、二軍は事実上、壁ではなく経験値を上げる場に過ぎないようだ。
逆に期待されながら苦しんだ例として挙げられるのが堂林翔太(2010年)。二軍100試合に出て打率は.207。74安打、7本塁打を放ち、111三振している。
安打数と三振数の関係でいえば、実は藤原(29安打と36三振)、小園(25安打と30三振)、根尾(21安打とリーグ最多の54三振)はそろって打率より三振率が上回っている。また、根尾の場合はリーグ最多の10失策と遊撃手としての守備面でも課題に直面している。
'07年の坂本以降の例を見る限りでは「高卒1年目は打てなくても心配無用」とは言えないのである。
もちろん、シーズンはまだ長い。まずは二軍の壁を打ち壊すべし。プロ野球のほぼ全スカウトが認めたであろう才能に磨きをかけ、そろって将来の侍ジャパンを牽引する姿をファンは待っている。