ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
「若い選手たちに還元したいね!」
ハマの助っ人“チャモさん”のお話。
posted2019/03/27 10:30
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Kyodo News
果たしてキーマンは誰なのか?
横浜DeNAベイスターズにあって、この問いは非常に難しい問題だ。
はっきり言ってDeNAは選手層が厚いわけではない。ご存知のように昨年はシーズンを通しケガ人が続出し、先発ローテーションも不確定ならば、スターティングメンバーも猫の目のように変わった。結果、3年ぶりのBクラスという成績で終わっている。
筒香嘉智や宮崎敏郎らに代わる選手はおらず、もちろん以前に比べれば選手層は厚みを増しているものの、主力の誰かが欠ければ、チーム力は一気に低下する。戦力補強がルーキー以外ほとんどなかったことを考えれば、今シーズンもその可能性がないとはいえない。
そのなかで、あえてキーマンを挙げるとすれば、筆者はホセ・ロペスを推したい。
ロペスはイチローの元同僚。
チーム最年長となる35歳。2年間所属した巨人からDeNAに来て、もう5年目になる。
キャリアを紐解けば、2004年のシアトル・マリナーズ時代はイチローがシーズン最多258安打を達成した試合に出場しており、さらに'06年はMLBオールスターゲームにも選出された経験豊富な選手である。
DeNAのチームメイトからは「チャモさん」と呼ばれ、誰からも愛される存在だ。
昨シーズン、ロペスは怪我により2度の離脱を余儀なくされた。チームが苦しい状況に陥ったのはもちろんのこと、ロペス不在中、現場で見ていた筆者にはチーム全体の士気が落ちたように感じられた。
筒香という大黒柱はいたが、まるで補いきれない“ほつれ”があるように……。
通訳を務める天野祥さんは、ロペスの人柄について次のように教えてくれた。
「チームの兄貴であり、親分肌。新しい外国人が来ると、日本の生活や文化、野球のことをチャモさんが教えてくれるので、僕らが必要ないぐらい助かっていますよ。また外国人選手ばかりでなく日本人の若手選手にも積極的にアドバイスを送り、チームの役に立ちたいと常に思っていますよね。そして筒香キャプテンを支える大切なひとり。人情味もあるし、まわりをよく見ている、まさにザ・プロフェッショナルですよ」