ラグビーPRESSBACK NUMBER
ワラターズ戦のスクラムは100点!
2015年W杯戦士・山下裕史の活躍。
posted2019/02/25 17:00
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph by
Kiichi Matsumoto
2月23日、スーパーラグビー参戦4年目を迎えたサンウルブズの国内初戦。
その瞬間、秩父宮ラグビー場がどよめいた。
昨季ベスト4のワラターズ相手に1点差(30-31)で惜敗はしたものの、前半15分、狼軍団は会心のスクラム・ターンオーバーを見せた。相手ボールを奪うビッグプレーの中心にいたのは、ベテランの2015年W杯戦士だった。
愛称は「やんぶー」。スクラムを主な仕事場にするプロップの山下裕史は、大阪府出身の33歳だ。日本代表として2015年W杯の躍進に貢献し、翌'16年はスーパーラグビー強豪チーフス(ニュージーランド)で1シーズンプレー。昨秋はW杯以来3年ぶりにジャパン復帰して話題を集め、トップリーグでは11年目の神戸製鋼で15シーズンぶりの優勝に貢献した。
そんな山下が2019年度のサンウルブズに新加入し、今年1月、千葉・市原市のキャンプに参加した。山下が抱いた当初の印象は「海外にいるみたい」だった。
「ホテル暮らしでラグビーだけに打ち込める環境です。外国人選手が多いですし、海外にいるみたいですね」
市原キャンプに参加した30選手のうち、日本人選手は7選手。国内でのプレータイムが少ないなどの理由で選抜され、3月中旬以降の参加を予定しているその他の日本代表候補たちの姿はなかった。
選手層に応じた今年流のスクラム。
そこらじゅうでネイティブの英語が飛び交う2019年のサンウルブズ。アジャストするのは日本人選手の側だった。ベテランの山下は積極的にコミュニケーションを図った。
「いろんな国の人が同じ目標に向かっているので、コミュニケーションは大切ですね。もうみんなで呑みました。お酒を呑んだら恥ずかしさは消えるので」
さらに密なコミュニケーションが必要だったのは、山下の仕事場であるスクラムだった。日本代表のスクラムは長谷川慎コーチが指導するが、サンウルブズでは新任のマーティ・ヴィールアシスタントコーチが担当した。
「サンウルブズの2019年シーズンのスクラムをやっています。今回は外国人選手が多いし、ウエイトもあるので、外国っぽいスクラムを組んでいるという感じです。外国人選手は組みやすそうにしていますね」