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ボクシングを、やり切りましたか?
村田諒太に聞きたいたった1つの事。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byAFLO
posted2018/10/30 10:30
村田諒太はあまりに多くのものを背負って戦っていた。1人のボクサーとして、今彼は何を考えているのだろうか。
ボクシングを、やり切りましたか?
32歳、肩書きは「前王者」になった。ボクシングを続行するか、辞めるのか「周りの方々と話をしてから決めないといけない」と話すにとどめた。
ゴロフキンが遠のいたのは事実だ。だが、ゼロまで戻ったわけでもない。評価が急落したなら、ボブ・アラムプロモーターから再戦を希望する話すら出てこなかっただろう。
ボクシングだって、人生だって負けることはある。
ボクシングだって、人生だって挽回できる。
彼から教えてもらった、チャーリー・チャップリンの言葉がある。
“人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ”
この言葉を逆に贈りたい。
やり切ったと会見で口にしたのは、あくまで今回の試合における話である。ボクシングそのものをやり切ったと語ったわけではない。時間を置いてみて、村田諒太はどう思うのか。
今、彼に聞きたいことがあるとすれば、ただひとつ。
あなたは大好きで大好きでたまらないボクシングを、やり切りましたか?