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ガンバのクルピ解任は「人災」。
再建チャンスの中断期間をフイに。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/07/28 08:00
宮本恒靖新監督の就任で何かを変えたいガンバ大阪だが、クルピ前監督の解任までの経緯は看過できない。
「あまり細かい部分は」(藤春)
宮本体制が本格稼働した7月25日の非公開練習後、藤春廣輝は率直な思いをこう口にした。
「レヴィーはゲーム形式ばかりで、あまり細かい部分は言わなかった。日本人は細かく言われる方が合っている」
FW陣を中心に居残りでシュート練習をさせるなど、個々の意識を変えるメニューなどは取り入れていたものの、クルピ体制の大半は紅白戦が主体。宮本監督も「今までは守備にしても攻撃にしても少し自由度が高過ぎた」とオブラートに包んだ言葉でチームの課題を口にした。
攻守両面で戦術的な約束事が少なかったチームは、個々のアイデアとコンディションに左右され、明確なスタイルを持ち得なかったのが実情だ。
W杯中断期間を無駄に過ごした。
ただ解任後、公の場では言葉を発していないクルピ前監督だが、自らの公式ツイッターでガンバ大阪のフロントをこう皮肉っている。
「ガンバは間違った監督と契約した。私のスタイルはフロントの仕事と合わなかった」
昨年解任されたサントスでも、戦術練習が皆無に近く、紅白戦しか行わないことを指摘されていたクルピ前監督だが、それが良くも悪くもクルピ流のスタイルだ。
見通しの甘いフロントと、現代的なエッセンスを持ち合わせないブラジル人指揮官が犯した最大の過ちは、ワールドカップによる中断期間をみすみす、無駄に過ごしたことである。
関西学院大学サッカー部に1-2で敗れるという醜態を晒した天皇杯の2回戦から5日後の6月11日。ガンバ大阪は山内社長名義で異例の声明文を発表した。
「この中断期間をチーム立て直しの大きなチャンスととらえ、チーム戦力が向上するためのあらゆる手段を講じる」とその覚悟を示したのだ。「あらゆる手段」という強い言葉が意味するのはセレッソ大阪の顔である柿谷曜一朗の獲得だった。