才色健美な挑戦者たちBACK NUMBER
“14歳の金メダリスト”岩崎恭子が“母”となった今、伝えたいこと。
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byMiki Fukano
posted2018/07/11 16:00
アメリカ留学で気づいた「褒める」大切さ。
20歳で現役を引退して、24歳のときにアメリカに1年間留学しました。そのとき研修の一環として、5~10歳の子供たちの水泳のコーチをしたんです。子供たちからは英語のできないコーチだな、って思われていたでしょうけど(笑)、他のコーチからは「今日はこうやってアドバイスしてあげて」とか「アドバイスをどんどんしてあげて」って言われるんですよ。
で、あるとき、プールで子供たちを見ていたときに、ふと「私、悪いところ探しをしているな」って気づいたんです。「この子、ここが良くなったら速くなるのに」とか、そういう見方をしている。日本は悪いところを直していくという指導方法が普通で、私自身、そういう風に育ってきた。でもアメリカはとにかく褒めて、いいところを言ってあげる。でもただ褒めるだけじゃなくて、厳しいところは厳しくて、すごくメリハリがしっかりしていて。悪いところを見るのではなくて、人のいいところを見つけて、それをきちんと伝える大切さを実感しました。アメリカにいた1年で色々な価値観がすごく変わったし、同時に日本の良さを知ることもできました。
アドバイスはできないけど、現役の選手たちには、2020年に自国で開催する五輪を経験できる幸せを感じてほしいなって思います。もちろん選手からしたらメダルのプレッシャーもあるし、それどころじゃないのも分かります。でも結果がいいにしろ、悪いにしろ、五輪が終わって振り返ったときに、日本で開催された大会に出られてよかったという幸せを味わってほしいですね。
今は娘の成長を見るのがすごく幸せですし、子育ては学ぶことばかりです。ときには「あなたのために頑張ってるのに!」って思っちゃうこともあります。できる限りのことは頑張ろうって思っていますが、その基準って人それぞれだから、頑張りすぎず、仕事やちょっと息抜きしたいときは、両親などに面倒を見てもらったりもします。日々、修行だなと思うこともありますが、両親はこれを私たち姉妹3人にしてくれたんですよね。昔から感謝はしていましたけど、娘を産んで、その思いはさらに強くなりました。私と同じように、娘が30歳ぐらいになったときに、この両親で、この環境で育って良かったなと思ってもらえたらうれしいですね。
岩崎 恭子Kyoko Iwasaki
1978年7月21日、静岡県生まれ。姉の影響で水泳を始め、14歳の時に出場したバルセロナ五輪の競泳女子200m平泳ぎで金メダルを獲得し、一躍世間の注目を集めた。その後苦悩の日々を過ごすが、1996年アトランタ五輪にも出場。1998年に20歳の若さで現役を引退。現在は1児の母でありながら、水泳の普及活動やメディア出演など幅広く活躍中。
毎回1名のゲストの「生き方」「人間性」にフォーカスし、そこにある「美しさ」をあぶり出すBS朝日の番組。ビジュアルだけではなく、精神的、健康的など様々な角度から“肉体に宿る美”を探ります。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。
MC:浅尾美和
第11回:岩崎恭子(水泳)
7月13日(金) 22:00~22:24
14歳の時にバルセロナ五輪の競泳200m平泳ぎで金メダルを獲得した岩崎恭子さん。「今まで生きてきた中で一番幸せです」という言葉と共に世間の注目を集めた後、苦悩の日々を過ごしました。その当時のエピソードを自身で振り返りつつ、今年で40歳を迎える彼女の今に迫ります。
第12回:栗原ジャスティーン
(ライフスタイルモデル)
7月20日(金) 22:00~22:24
インスタグラムのフォロワー数が10万人を超える栗原ジャスティーンさん。魅力的な生き方を発信する“ライフスタイルモデル”として活動しています。彼女がこの道を選んだ理由と、日々のトレーニングと同じぐらい大事な時間と考える写真へのこだわりについても語ります。