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ゴルフ界で始まったAbemaの挑戦。
男女の勝負、出身地、長時間放送。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2018/07/05 16:30

ゴルフ界で始まったAbemaの挑戦。男女の勝負、出身地、長時間放送。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

AbemaTVの放送ブース。伝統と変革、ゴルフ界に彼らはどんな影響を与えるのだろうか。

選手名に出身県を表示した理由は?

 賞金は優勝しても300万円そこそこで、一軍の試合に比べれば10分の1~4分の1程度であるが、選手にとっては露出環境が大きく変わった。そもそも多くの下部大会は、ファンが生観戦するという文化がない。選手と来場者を仕切るロープはおろか、入場券もほとんど設けられず、大会開催中も別の組で一般客がプレーしていることが珍しくない。

 その大会運営のカタチこそ引き継がれているが、今年から全ラウンドがインターネットを通じて全国に放映されるようになったのだから、“観るスポーツ”、“観られるプロアスリート”としての一歩をようやく踏み出したといったところだ。

 従来のテレビ放送とは異なり、ネット中継には新しいアイデアが盛り込まれている。AbemaTVツアー放送中の順位表には、選手名とともに出身県(国)が入るようになった。

 これはサイバーエージェント以下、多くの関連会社を率いる藤田晋社長のアイデアだったそう。AbemaTVにはプロ野球やサッカー、相撲など複数のスポーツコンテンツがあるが、ファン獲得にはアスリートへの親近感を持ってもらうことを重視しているという。その第一歩が出身地の明示だった。

 テレビ放送との最も大きな違いは、なんといっても中継時間の長さ。日本のレギュラーツアー中継の多くが2時間前後であるのに対し、AbemaTVツアーは1日10時間を超すこともある。

試合中の選手に自己解説させる試みも。

 女子プロの出場も、そういった新コンテンツの目玉のひとつだった。横峯の出場が決まったのは大会のわずか1カ月前。宮里に至ってはおよそ10日前のブッキングだったというからスピード感に驚かされる。

 プロジェクトは始まったばかり。船出は必ずしも順風満帆とはいかない。編成制作・スポーツ局の責任者である古川雄太部長は、ここまでを「なかなか難しい」と率直に振り返る。

 数字的な実績でいえば、初戦のNovil Cupは横峯さくらが出場していた予選2日間の視聴数は目標値に届いたが、最終日は3分の1程度まで減少した。

 さらに各大会の平均視聴者数や時間は、4月に同サイトで放送した女子のレギュラーツアー・サイバーエージェントレディスに比べて、約10分の1ほどだったという。

 4月下旬のジャパンクリエイトチャレンジ in 福岡雷山では、あるプロに小型ピンマイクをつけ、試合中に狙いやプレーを自ら解説するという目新しい企画を実行したが、同伴選手などへの影響も含めた問題が改善ポイントに挙がった。試行錯誤の連続だ。

【次ページ】 「見られている」というプロ意識が育つ。

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