サッカー日本代表 激闘日誌BACK NUMBER
フォトグラファー近藤篤が撮った激闘の瞬間
posted2018/04/27 10:00
text by
近藤篤Atsushi Kondo
photograph by
Atsushi Kondo
アジアカップカタール大会決勝(ドーハ ハリーファ国際スタジアム)
日本 1-0 オーストラリア
負けているときは、結果なんだよ、と不平を言う。勝ち始めると、内容なんだよ、と不満を述べる。サッカーファンというのは基本的に自分勝手な生き物だ。
今でこそサムライブルーという勇ましいニックネームで呼ばれる日本代表も、その長い歴史の中の大部分においては、勝てもせず内容もないチームだった。その暗黒の歴史は1986年ごろから光の方へ向かって動き始め、1998年に史上初めてW杯に参加したことで長いトンネルを抜け出した(と僕は思っている)。
アルベルト・ザッケローニが日本代表監督を務めていた数年は、そんな身勝手なサッカーファンの要求をかなり高いレベルで満たせた時間だったように思う。W杯本大会で結果を残すことは叶わなかったが、彼の目指していたサッカーは素早いパスワークと俊敏さを重視した、日本人に馴染みやすいスタイルだったし、観ていて心地よかった。W杯本大会は残念な結果に終わってしまったが、そこに至るまでの道程では内容だけではなくしっかりとした結果も残せた。
写真は、就任して1年目、カタールで開催されたアジアカップ決勝戦で撮ったものだ。ザックジャパンは準決勝で韓国にPK戦で勝ち、決勝ではオーストラリアを相手に延長戦を制して優勝を果たした。選手たちに笑顔で胴上げされるザッケローニには、欧州の本場、あるいは修羅場、で長い時間仕事をしてきた本物の監督が持つ存在感と説得力があった。
日本代表の写真で印象に残っている一枚を。そう言われて最初に思い出したのがこの一枚。誰もが幸せそうに笑っているのが、とても良い。