球道雑記BACK NUMBER
妻の献身とフォーム改造の試練……。
ロッテ大嶺祐太、絶望からの先発復権。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/01/31 17:30
2018年は「先発一本でいきたい」と宣言した大嶺。涌井秀章の残留が決まったことで、先発ローテ争いはますます激しくなっている。
突然の中継ぎ指令だったが、及第点以上の活躍。
結局、開幕後は自身が希望する先発ではなく、中継ぎに配置されることになった大嶺。それでも彼が、不満のひとつもこぼさず自分の仕事をまっとうしたのは言うまでもない。
20試合に登板して防御率3.82の数字を残したことがそれを物語る。
昨年6月18日の巨人戦で延長12回に登板し4失点し、サヨナラ負け。これで数字を下げたが、それまでの防御率は2点台をキープするなど中継ぎ投手としては及第点以上の成績を残していた。
自主トレ、キャンプと先発ローテーションを目指し、それ用の調整を続けてきたことも考えれば……不慣れなポジションにもかかわらず、十二分の働きをしたと言えるのではないだろうか。
リリーフの気持ちを理解することはできたのだが……。
そんな2017年を彼はこう振り返る。
「それまでの経験からリリーフの大変さもじゅうぶん分かっていたつもりでしたが、昨年は改めてそれを思い知らされたシーズンでした。
メンタルの部分だったり、体の作り方だったり……他のリリーフの方達は、試合前の調整や試合に入ってからも、精神的に抜くところは抜いて、入れるところは入れてという部分を上手くやっていたように思うんですけど、自分にはそれが合わなかった」
試合に向けて、静かに立ち上がる先発の調整法と違って、リリーフ陣はいきなりマックスにギアを入れてマウンドへ向かう選手が多い。
勝ちパターンで起用され、ある程度、登板するイニングが約束されている救援投手ならまだ良いが、どこで起用されるかも分からない昨年の大嶺のようなポジションでは、ブルペンで何度も肩を作り、何度も気持ちを入れ直す必要があり、独特の難しさもあったという。