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女子高生ランナーが2020年の新星。
全国女子駅伝で区間新、廣中璃梨佳。
posted2018/01/30 11:00
text by
金哲彦Tetsuhiko Kin
photograph by
EKIDEN News
九州にとんでもない女子高生ランナーがいる。
長崎商業高校2年、廣中璃梨佳(ひろなか・りりか)だ。
素朴な話し方と表情が初々しい17歳のトレードマークは、どんなレースでも必ずブルーのキャップをかぶって走ること。
廣中は、昨年につづき全国女子駅伝(1月14日)の長崎代表として4区を走った。毎年1月に京都で開催される全国女子駅伝は各地域で選抜された中学生から社会人までの混合チームで争われる都道府県対抗の駅伝だ。
4区は上りかつ前半の勝負所として競り合いが厳しく難しい区間とされている。そのため、実業団のエースクラスが起用され、歴代記録上位には実業団の有名選手が名を連ねる。
3区の川口幸奈(諫早高附中)から8位でタスキを受けた長崎代表の廣中はいつものブルーキャップ。7人をあっという間にごぼう抜きし、先頭に立ち、2位大阪に19秒もの大差をつけた。
快挙はごぼう抜きだけではない、廣中がマークした12分32秒は木崎良子(ダイハツ)の区間記録を大幅に更新した。
高1で区間賞、高2で区間新と実業団選手を上回る。
言うまでもなく木崎は、ロンドンオリンピックの女子マラソン日本代表選手である。
廣中が破った区間記録を出す前年には世界陸上モスクワ大会のマラソンに出場。メダルまであと一歩の4位に入賞している。つまり、廣中は17歳にして世界に通じるレベルの記録を超えたことになる。
実は、廣中は昨年も同区間で区間賞をとっている。しかし、その快走は「大雪」に話題
をさらわれあまり目立たなかった。
中学時代800mで全国大会6位の実績がある廣中。全国女子駅伝の中学生区間でも区間賞をとり、それなりに知られた存在ではあった。だが、長崎商業高校に進学してからの勢いがすさまじい。
高校1年で3000mを9分00秒81、全国女子駅伝の4区で区間賞。
高校2年で3000mを8分56秒29、全国女子駅伝の4区で区間新。
記録、実績ともにすでに実業団選手の上をいっている。