今日も世界は走っているBACK NUMBER

女子高生ランナーが2020年の新星。
全国女子駅伝で区間新、廣中璃梨佳。 

text by

金哲彦

金哲彦Tetsuhiko Kin

PROFILE

photograph byEKIDEN News

posted2018/01/30 11:00

女子高生ランナーが2020年の新星。全国女子駅伝で区間新、廣中璃梨佳。<Number Web> photograph by EKIDEN News

日本女子の長距離界と世界の距離を埋めるために――廣中への注目は今後高まるに違いない。

特徴は大きな腕振りでグイグイ前に進むパワー系。

 そんなスーパー女子高生のこれからを期待しつつ、強さを分析してみた。

 彼女の走りの特徴は、鋭く大きな腕振りでグイグイ前に進むパワー系である。パワーといっても長距離選手の場合、筋骨隆々というわけではない。一見しなやかな細身だが、ひとつひとつの筋肉がしっかり機能する、いわゆる“細マッチョ”だ。

 実績を残してきた日本の女子高生長距離アスリートたちには、これまで2つのパターンがあった。1つが、体脂肪を極限まで落とし、体を軽くして最大酸素摂取量をあげる軽量ストライドタイプ。

 そして2つ目が、上下動をなくし高い回転数を刻んで走るハイピッチタイプ。

 だが、廣中のパワフルな走りはどちらにも当てはまらない。ストライドもピッチも、強い上半身の動きから生み出しているのだ。

「レース前1週間は集中したいので」と。

 精神力も人並みではなさそうだ。

 全国女子駅伝に先立って注目選手のひとりとして、ある著名人が直接取材を申し込んだ。

 長崎県チームの監督は問題なくオーケーしたのだが、廣中本人が「レース前1週間は集中したいので」ということで丁重に断ってきたとのこと。大物だ。

 我の強さや怖いもの知らずの気質は、区間配置を決める時のやりとりからも窺える。廣中くらいの力があれば、レースの流れを作るため1区の起用は当然考えられただろう。しかし、「4区でどうしても区間新記録が作りたい」という本人の希望で4区に決まった。

 有言実行すべく、タスキを受け取った瞬間から攻める走り。気持ちの強さがはっきり走りにも出ていた。

【次ページ】 2000年11月24日生まれの廣中が救世主となるか?

BACK 1 2 3 NEXT
廣中璃梨佳
高橋尚子
東京五輪
オリンピック・パラリンピック

陸上の前後の記事

ページトップ