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森保ジャパン初陣、U-20W杯組ゼロ。
東京五輪世代は「すべてが競争」。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byGetty Images
posted2017/12/12 17:10
タイ戦でゴールを決めた神谷(10番)など、U-20W杯不選出組でも逸材は多い。森保監督は彼らの才能を逐一チェックしている。
「W杯メンバーが入っていないのはすぐ気づいた」
「呼んでもらえたのは嬉しかったですけど、ワールドカップのメンバーが入っていないのは、すぐに気づきましたね」
そう語るのは東京ヴェルディの技巧派MF、井上潮音である。北朝鮮戦に先発し、マイナスのクロスに合わせて1ゴールをマークしたボランチは、さらに続ける。
「彼らと一緒にやれるように、まずは自分が生き残るためにアピールしたいし、そんなに負けているつもりもない。そういうメンバーに少しでも食い込んでいきたい」
一方、U-20ワールドカップに向けた代表候補に直前まで選ばれていたMF針谷岳晃は、改めて悔しさを口にした。
「(U-20ワールドカップのメンバーに)入れなくて悔しかったですけど、チーム(所属するジュビロ磐田)で悔しさをしっかりとバネにしてやってきたので、多少はレベルアップしたかな、と思います」
「負けていない」(井上)、「差はない」(針谷)
北朝鮮戦で井上とボランチを組んだ針谷も指揮官へのアピールに成功している。5分にはDFの裏に浮き球のパスを送り、長沼洋一(モンテディオ山形)のゴールをアシスト。56分にも鮮やかなスルーパスから上田綺世のゴールを演出した。いずれも正確なワンタッチパスで、センスを存分に発揮した。
今大会から2、3人はU-23アジア選手権のメンバーに入る可能性があることを知ると、針谷は自分に言い聞かせるように言った。
「そうですよね。もっとやらなきゃいけないし、違いを見せていかないと。でも、U-20組とそんなに差があるか、って言われると、そんなことはないので」
「負けていない」と言った井上と、「差はない」と言った針谷。そう、さらっと口にする辺りに彼らの自信とプライド、悔しさが滲み出ていた。