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福西崇史「乾や岡崎を出せていれば」
イラク戦、不運で消えた切り札2枚。
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/06/14 12:15
本田圭佑のCKから決まった大迫勇也の先制点は美しいゴールだった。ゲームプランの中で最も好都合なスタートだったはずだが……。
標高1200mは本当につらい。まして3600mは……。
僕自身テヘランで戦った時のことを思い出すと、気温の高さにプラスして、1200mという標高がもの凄くつらいんですよ。それはなぜかというと、とにかく空気が薄いから。試合中に全力疾走を繰り返しているうちに、息をしても酸素が入ってこない感覚に苦しめられるんです。テヘラン以外にも南米のボリビアで非常に高い標高(主な会場となるラパスの標高は約3600m)で試合をしていますが、高地での環境に慣れていない選手にとっては、ものすごく厳しい条件なんです。
それだけに今回の試合でも、日本は途中からガクッと運動量が落ちました。イラクがボール保持しているところに対して2回、3回と連動してプレッシャーをかけられなかったのも仕方ないかなと感じます。
これだけのタフな環境で、踏ん張りを見せていたのがダブルボランチの井手口と遠藤でした。リオ五輪で国際試合を経験した2人ですが、今回のW杯最終予選ではともに初出場でした。それだけに2人とも気持ちが入りすぎるかも、と思っていましたが、試合を通じていい連係でプレーしていました。
井手口が積極的にボールホルダーに対してチェックに行く一方で、遠藤が空いたスペースをカバーする。守備面ではこの関係性が機能していたし、日本がいい形で攻撃を仕掛けたシーンでは、主に井手口が前に出ようという推進力を発揮しました。この2人は代表の中では若手ですが、中盤の競争に割って入れる力があることをしっかりと見せましたね。これは選手層の厚さという意味でプラス要素ですよね。
残り2戦、1つ勝てばW杯が決定。
ドローとはいえ日本はグループ首位を守り、4位のUAEがタイ相手に引き分けたことでプレーオフ圏内となる3位以内を確定させました。そして残り2試合はW杯出場権を得るための決戦となります。現時点でのグループBの3位までの順位と対戦カードを確認しておきましょう。
1位:日本 勝ち点17 得失点差+9
2位:サウジアラビア 勝ち点16 得失点差+7
3位:オーストラリア 勝ち点16 得失点差+6
日本の対戦相手:オーストラリア(ホーム)、サウジアラビア(アウェー)
サウジアラビアの対戦相手:UAE(アウェー)、日本(ホーム)
オーストラリアの対戦相手:日本(アウェー)、タイ(ホーム)