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菊池雄星のメジャー挑戦はまだ早い。
大谷翔平と差がある「内角の意識」。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2017/01/17 11:30

菊池雄星のメジャー挑戦はまだ早い。大谷翔平と差がある「内角の意識」。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

菊池雄星の才能のスケール感は凄まじいものがあるが、それが結果につながっていないのも事実。ここが正念場なのだ。

何かが足りないから、43勝36敗なのだ。

 メジャー挑戦のために今後、2年連続2ケタ勝利を自らに義務づけているが、仮に15勝ずつしても通算73勝にしかならない。現在25歳というけっして若くない年齢がメジャー挑戦を急がせているのだろうが、日本球界での「90勝以上」は球団への恩返しの目安ではなく、日本球界でそれくらいの数字を残さなければメジャーで活躍することはできませんよ、という線引きだと考えたほうがいい。何かが足りないから、6年間で43勝36敗しかできなかったのである。

 昨年9月28日の日本ハム戦では、勝てば日本ハムがリーグ優勝するという一戦で、先発のマウンド上には日本ハムが大谷翔平、西武は菊池が立っていた。大谷が9回完封して被安打1、奪三振15、与四球1、失点0だったのに対して、菊池は6回を被安打5、奪三振4、与四球4、失点1だった。ストレートの最速は大谷の159キロに対して菊地は153キロ。大谷はもちろん速かったが、菊池も速かった。

 4奪三振はいずれもストレートで奪ったもので、1回は陽岱鋼を151キロで空振り、中田翔を150キロで空振り、2回はレアードを146キロで空振り、田中賢介を150キロで空振りという内容だった。

 3回以降三振がなくなるのは、スピードが落ちたからでない。3回は中田に対して152キロが3球、4回は田中賢に151キロ(これをレフト前に運ばれる)、5回は西川遥輝に151キロが2球、最後の6回には151キロを投げている。それでも三振が取れないのは、正確なコントロールと緩急の投げ分けが十分でなかったからだ。

大谷には、力と頭脳が同居している。

 大谷は菊池に欠けているその2つを備えていた。この日は、125球中ストレートは約42パーセントの52球に過ぎなかったが(通常は50パーセント以上)、15三振のうちストレートで奪ったものが9つあった。そして、そのうち7個は「変化球→ストレート」という緩急を使っている。

 三振を奪えなかった1回裏は9球中7球がストレートだったが、ストレートで押すより緩急を使って確実に打ち取っていこう、という方向転換を2回以降実践し、その結果三振が劇的に増えている。ちなみに、52球のストレートの平均速度は157.1キロだった。力と頭脳と理性が同居している投手なのだ。

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