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酉年に飛翔する“イタリアの雄鶏”。
国民的支持を受けるFWベロッティ。
posted2017/01/11 11:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
雄鶏の鶏冠(とさか)ポーズが、ゴールの証だ。
イタリアに十二支の縁起を担ぐ習慣はないが、酉年にあたる2017年に注目すべき選手といえば、“ガッロ(雄鶏)”の異名を持つトリノのFWベロッティを推さないわけにはいかない。
セリエAでもイタリア代表でも、右手を額に掲げる彼の風変わりなパフォーマンスは、相手ゴールを攻め落としたことを意味する。
ゴールへ向かうステップ毎に、足元の芝を根こそぎ抉り取っていくような力強い突破力。
ピンポイントのクロスへ正確に合わせるテクニック。
今年24歳になる年男FWベロッティこそ、伝統国イタリアが待ち望んでいた正統派ストライカーなのだ。
辛口の監督が「あいつは一人で何役やるんだ?」。
昨年12月、イタリアでは改憲を争点とした「YES/NO」形式の国民投票が行われ、現地スポーツ紙上でもこれに乗じた投票企画が流行した。
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』が“現在のイタリア人最強FWはベロッティ?”と提起したところ、「YES」の回答率は83%にも上った。
うるさ型の多いカルチョの国で、国民的な支持を得るのにはもちろん理由がある。
昨季後半戦だけで11得点とブレイクの兆しを見せていたFWベロッティは、トリノ入団2シーズン目の今季開幕から好調を維持。2節目のボローニャ戦でハットトリックを達成すると、その後もコンスタントに得点を量産している。
3-1で完勝した6節ローマ戦は、まさにベロッティの一人舞台だった。
先制弾にPK獲得、アシストまで決め、強豪ローマを完全粉砕。身内にも辛口で知られる猛将ミハイロビッチですら「あいつは一人で何役やるんだ? イタリア最高のFWになる日も近いぞ」と手放しの称賛ぶりだった。