サムライブルーの原材料BACK NUMBER
太田宏介が上げ、小林悠が仕留める。
同級生で、親友で、ずっとライバル。
posted2016/10/06 12:30
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
JFA
太田宏介と小林悠。
ハリルジャパンに名を連ねている2人は、麻布大学附属渕野辺高(現麻布大学附属高)サッカー部の同級生である。親友かつライバル。29歳になった今も、お互いに刺激しあう間柄だ。
2人はアギーレジャパンで顔を合わせていたが、ハリルジャパンでは同時に招集されてこなかった。9月のUAE戦、タイ戦のメンバーにそろって選出され、代表の舞台で久々に再会を果たしている。だが太田に出場機会は与えられず、小林もタイ戦で残り5分に出場したのみと、「共演」を果たすことはなかった。精度の高いクロスと万能のアタック。2人の「あうんの呼吸」は、ハリルジャパンの新オプションとなる可能性を秘めている。
「(イラクはクロスに対して)ボールウォッチャーになる感じがある。オーストラリアにサイドを崩されて、ファーにマークがついていなかった場面があったし、個の打開とサポートが大切になってくる。タイとの試合で(酒井)宏樹が(原口)元気にアシストしたような形をチームとしてもっと出していければいいんじゃないかなとは思います。セットプレーも武器になる。ニアに人数がいても、決められているので」
代表合流前にオーストラリアとイラクの一戦を映像で予習してきたという太田は、クロスやセットプレーがチャンスになる感触を得た。左足のキックに自信を持つ者として、試合を具体的にイメージしながらトレーニングに臨んでいた。
「あうんの呼吸というものは絶対にある」
タイ戦は、右サイドを上がってきた酒井宏からのクロスに対し、逆サイドの原口がヘディングで合わせて先制ゴールが生まれている。
太田が胸に刻みこんでいるのがこのシーンだ。
逆サイドでクロスボールを待っているのは、小林かもしれない。そう尋ねると、彼は言葉に力をこめた。
「プロになってから同じチームになったことはないけど、そこは小学生のときから知っている仲ですからね。あうんの呼吸というものは絶対にあると思うし、(お互いに)自信もあります」