プロ野球PRESSBACK NUMBER
3年連続Bクラスの西武に微かな光。
中継ぎ陣の奮投と、森の捕手起用。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/10/06 07:00
パ・リーグ各球団を圧倒した常勝時代を再び――。辻新監督のもと、2017年こそライオンズの復権なるか。
リリーフ陣の踏ん張りによって4位にとどまった。
それでも4位という順位で踏みとどまったのは増田達至、牧田和久、武隈祥太、小石博孝らブルペン陣の働きによるところが大きい。武隈はチームトップの64試合、増田が53試合に登板。牧田と小石は50試合ながらロングリリーフも多く、イニング数は70回超えと先発の多和田真三郎に次ぐ数字を残した。彼らの献身的なピッチングなくして4位という成績はあり得なかった。
昨年までの登板数を大きく上回った小石は、シーズン中盤、こんなことを語っていた。
「リードしているときはチームのムードもいい。でも、僕はリードを許しているときに投げることが多いので、ゼロに抑えるのはもちろん、次のピッチャーにいい流れでつなげられるようにと心掛けています。悪い流れになっていたら、それを断ち切れるように、リズムや投球テンポなどを気にしてますね。でも、なにより一生懸命投げるというのがいちばん大事だと思います」
ビハインドの場面で登板する投手は、決して目立つ存在ではない。しかし、この中継ぎの投手が崩壊すれば、勝ちパターンで投げる投手、ひいては投手陣全体にしわ寄せが行く。しっかりと自身の役割を果たした結果、手にした最多登板だった。
小石を含めた中継ぎ投手陣やリリーフ陣は成果を残したと言っていいだろう。ここに現在、左ヒジの故障によりリハビリ中の高橋朋己が加われば、牧田を本来の先発に戻すことも可能だ。
森友哉が「捕手」として経験を積めたことの価値。
中継ぎ、抑えの投手力が充実したと同時に、もうひとつ、収穫を挙げるとすると、キャッチャー森友哉が実戦経験を積んだことだろう。
7月末から高橋光とコンビを組み、スターティングメンバーでの起用が増えた。打撃でも結果を残し、多和田、菊池など、高橋光以外の投手が先発するときもマスクをかぶった。森に2016年シーズンについて尋ねると、チームの成績を思ってか一度、「うーん」と言葉に詰まったあと厳しい表情のままこう語った。
「キャッチャーとして出させてもらう機会が多かったので、来シーズンに向けていい経験をさせてもらった、来季につながる機会を与えてもらえたとは思います」