プロレスのじかんBACK NUMBER

WWE中邑真輔の“ホーム”は何処だ?
プロレス人生、旅から旅の連続ドラマ。

posted2016/07/15 11:00

 
WWE中邑真輔の“ホーム”は何処だ?プロレス人生、旅から旅の連続ドラマ。<Number Web> photograph by Hiroki Watanabe

WWE移籍後、無敗を続けている中邑真輔。両国・日本凱旋大会では、クリス・ジェリコ、ケビン・オーエンズに快勝した。

text by

井上崇宏

井上崇宏Takahiro Inoue

PROFILE

photograph by

Hiroki Watanabe

 今年6月に入って立て続けに3件もの悲劇に見舞われた地、アメリカ・フロリダ州オーランド。

 ある日は、女性シンガーがコンサート終了後に会場でサインに応じているところをストーカーと化したファンの男に射殺された。ある夜は、ダウンタウンのナイトクラブで49人が殺害され、53人が負傷するというアメリカ史上最悪の銃乱射事件が起きた。そしてまたある日は、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートで湖沼に2歳の男児がワニに引きずり込まれ死亡した。

 しかし、オーランドの日常の顔は、全米屈指の観光・保養都市であり、住民たちにとっては、夏場に毎日のように襲ってくる一過性の雷雨が一番怖いくらいという、温暖な気候に恵まれた穏やかな都市だ。

ADVERTISEMENT

 そしてプロレスファンにしてみれば、「オーランド」=「WWEのパフォーマンスセンターの所在地」であり、WWEの人気カテゴリ「NXT」の本拠地、ということになる。

オーランドでの中邑の日常生活は?

 今年春、WWEと契約をした中邑真輔は、デビュー戦を目前に控えた3月下旬から、多くのプロレスラーたちも住んでいるこのオーランドに住居をかまえている。

 中邑と同じく、プロレスラーたちは世界中のいろんな国から集まってきている。

 インドやブラジルなどからやってきた選手などは家族と一緒に来ていることが多く、比較的治安のいい場所を選んで住んでいるという。

 キャリアの浅い、若い選手たちはルームシェアが多い。フロリダ州内での試合であれば、各自が車で会場入りをするが、その際も彼らは相乗りが常だったりする。

 経験豊富な人気選手もいればデビューしたばかりの無名選手もいるのがオーランド――。それらの要素がミックスされていることで、ある種の不完全さが現出したり、よりメジャーな「RAW」や「SMACKDOWN」でも滅多にお目にかかれないようなハイクオリティな試合が見られたりするのが、中邑が主戦場としている「NXT」の特徴だ。

 2012年よりスタートした新しいカテゴリなので、いまだ“NXT”という概念は完成に至っていない。だが、何かを生み出そうとしている、プロレスの新しい価値観をクリエイトしようとしている“進行形の場”という意味では、36歳になるベテランの中邑も「悪くないな」と感じているという。そういう若き選手たちの姿は、ハングリーな自分を思い出させてくれ、少なからず刺激にもなっているのだ。

【次ページ】 久々にあった中邑は、すっかり現地に溶け込んでいた。

1 2 3 NEXT
#中邑真輔
#WWE
#NXT

プロレスの前後の記事

ページトップ