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WWE中邑真輔の“ホーム”は何処だ?
プロレス人生、旅から旅の連続ドラマ。
text by
井上崇宏Takahiro Inoue
photograph byHiroki Watanabe
posted2016/07/15 11:00
WWE移籍後、無敗を続けている中邑真輔。両国・日本凱旋大会では、クリス・ジェリコ、ケビン・オーエンズに快勝した。
「人生は一度きり」なので世界中を見てみたい!
「こんなに早く帰って来てしまってすみません(笑)」
オーランドでの取材からおよそ1週間後の7月1日と2日、東京・両国国技館で夏の恒例となっているWWE日本公演『WWE Live Japan』が開催された。
「RAW」「SMACK DOWN」「NXT」で活躍する選手の中から選抜されたメンバーが出場した今年の公演の目玉は、早すぎるとはいえ、やはり凱旋帰国となった中邑真輔だ。
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前売りチケットは早々に完売となり、その期待に応えるかのようにクリス・ジェリコ、ケビン・オーエンズを破る活躍を見せ、久しぶりに存在感を日本のファンの前で見せつけた。
ハワイでの試合経由で中邑が日本に着いたのが大会初日当日なら、2連戦を終えた翌3日にはすぐまたアメリカへと発つという忙しさだ。長らく“ホーム”だった日本をほとんど体感することなく、日本滞在中にした特別なことといえば、日本製でお気に入りの歯ブラシをコンビニで爆買いしたことぐらいだ。
「日本食に大いに感動できるほど、まだ渡米してからそんなに時間も経っていないですからね(笑)。もともと、海外に憧れたっていうのも、人間としてこの地球上に生まれたからには、行けることが可能なところへはどんどん行っておかないと、どんどん知っておかないと、という思いからですよね。あとはやっぱり『人生は一度きり』っていうのが心の中にあって、世界中を覗くことによって何かを犠牲にするわけでもないし、ちょっと踏ん張ればどうにかなるでしょう。これからもどんどんいろんな国に行くことになると思いますし」
日本にも、オーランドにも、もしかしたら“ホーム”という感覚は持っていないのかもしれない。
旅から、旅へ。
中邑真輔、生粋の旅人である。