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西武を支える“超安定”武隈祥太と
“画面から消える”中崎雄太の変身。
posted2016/06/13 12:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
NIKKAN SPORTS
6月10日の中日戦、延長12回裏、0対0の均衡を破るサヨナラヒットを打った秋山翔吾が試合後の会見で言った。
「先発の多和田はもちろん、そのあとも、プレッシャーのかかる展開の中で投げたピッチャーが皆、がんばってくれました。選手1人1人ががんばった結果、最後に自分にチャンスが回ってきただけだと思っています」
謙虚な秋山らしいコメントだが、この言葉が交流戦に入ってからのライオンズの戦いぶりを象徴している。
この日、先発の多和田真三郎から増田達至、牧田和久、武隈祥太へとつないだ必勝パターンで、西武は中日打線を0封。ついに借金を返済し、勝率を5割に戻した。
変身して勝ちパターンの継投策に入った武隈。
10日の勝利投手は左腕の武隈。昨年から首脳陣の信頼をがっちりとつかみ、今年は特にリードしている場面での登板が増えている。
武隈は北海道・旭川工高出身の9年目。すでにチーム最多の27試合に登板し、防御率は2.67(6月11日現在)。「平常心でマウンドに上がること」(武隈)を心がけていると話すが、昨年よりストレートの球威が増して、本人が「生命線」だと語るチェンジアップがより生きるようになった。
「打ち込まれた試合も一度だけで、本当に安定している印象です。チェンジアップは、もともとよいものを持っていたんですが、今年は特にスライダーがいい。そのスライダーをうまく使えば、左バッターももっと抑えられると思います。とにかくしっかり仕事をしてくれているので、完全に勝ちパターンの継投策に入っています」(土肥義弘ピッチングコーチ)
入団当初は高校の先輩である同じ左腕の星野伸之氏(元阪神)を引き合いに出される機会が多く、星野氏と同様の技巧派と評されていた。しかし、今シーズンはそのイメージを一変。140キロ以上の速球で三振を奪う小気味いい投球を見ると、プロ入り後にガラリと変身したピッチャーの1人と言えるだろう。