手段を問わない現役時代の無法っぷりは健在。

　シメオネの手腕を持つ者はサッカー界にはそうそういないが、ビジネスの世界ではどうだろう。

　指導者としての哲学と影響力を別の分野からも評価されるようになったシメオネは、いまでは113年に及ぶアトレティコの歴史上、最も重要な人物の1人に数えられるようになった。前述のCLバルサ戦を勝ち抜けた際は、スペインのベテランジャーナリストから「アトレティコにとってのクライフだ！」と絶賛されている。

　が、それもこれも外野の話。一見落ち着いた現在も彼の中には現役時代の無法っぷりが残っており、リーガ第35節では、マラガのカウンターを邪魔すべくベンチ前から試合中のピッチにボールを投げ入れさせたカドで退席処分になったりしている。

　手段はどうあれ、目の前の試合を勝つことに全力を傾けるのがシメオネなのだ。