サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
岡崎慎司100試合、中村俊輔98試合。
「あの人は本当に偉大な、大先輩」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/04/02 10:30
南アW杯、中村俊輔は途中出場でゴールを決めた岡崎慎司に祝福の声をかけた。2人の絆は今も続いている。
わかってきた自分の能力の引き出し方、使い方。
スーパープレーを見せる能力がなかったわけではなく、最近の岡崎は自分の持つ能力の引き出し方、あるいは使い方が何となくわかってきたような感覚があるという。
「感覚でプレーすることが出来ているときには、自分がそういうものを引き出せる、と最近はわかってきたんです。だからこそ、今は試合中にはあまり何も考えずにサッカーをしていますね」
そんな岡崎を象徴するエピソードがある。2014年4月に発売された『鈍足バンザイ!』という本の担当編集者が、今年の2月に嬉しい事件について教えてくれた。
「発売直後にも重版がかかったのですが、岡崎選手の本はロングセラーになっていて、その成長と連動するかのように、先日再び重版がかかったのです」
本の売れ行きはまるで、岡崎の成長曲線を象徴しているかのようだ。
100試合後のスピーチに隠されていた成長の秘密。
これから岡崎はどこに向かうのか。予想するのは簡単ではない。
ただ、シリア戦の後に突然うながされたスピーチに、彼の成長の秘密は隠されているように思える。
「えー、応援ありがとうございました! こういう場所でスピーチするのは苦手なので、何を言えばいいかわからないんですけど(笑)、たくさんの人のおかげで、こうやって100試合出場することが出来たので。本当にその感謝の気持ちをもって、まだまだ、頑張りたいと思います。まだまだ、『貪欲な29歳』、これからも頑張ります! 応援、よろしくお願いしまっす!」
歳を重ねても変わらぬ貪欲さ――。
そんな武器をまとい、戦いを続ける岡崎は、人々の記憶に焼き付いて離れないストライカーとして後世まで語り継がれる選手になるのかもしれない。