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日米で注目が集まるキャディの価値。
米は集団訴訟、日本はアプリで発信!?

posted2015/09/11 10:30

 
日米で注目が集まるキャディの価値。米は集団訴訟、日本はアプリで発信!?<Number Web> photograph by AFLO

川村昌弘と海外を転戦することも多い小岸秀行さん(左)。選手とともに視聴者やギャラリーの目に触れるキャディは、半分裏方半分表舞台という複雑な立場なのだ。

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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 アメリカらしいといえば、そうなのかもしれない。

 まもなくシーズンが終わる今季の米国PGAツアー。何やら物騒にも思える話が湧いたのは、今年2月だった。第一線で戦う選手たちに帯同するプロのキャディたちが、ツアーを訴えたという。

 彼らの言い分はこうである。

 米ツアーは、選手それぞれに個人スポンサーの企業ロゴをウェアに掲出することを認めており、キャディにも同様の権利を与えている。しかし実際の試合では、キャディは大会ごとに指定のビブスを着用させられ、ウェアのスポンサーロゴが隠れてしまう。

「ツアーはキャディの権利を侵害して経済的損失を与えているばかりか、大会のビブスを着せることで広告収入を得ているにも関わらず見返りを分配していない」というのが、80人以上に及ぶプロキャディによる集団提訴の内容。彼らの本来の雇用主であるゴルファーではなく、ツアーに対して賠償請求を行った。

ツアー側を「キャディ軽視」だと批判。

 プロの多くの試合では、大会側がキャディを用意する。それでも一流プレーヤーのほとんどが、彼らのようなプロの帯同キャディを雇っているのが現状だ。「コースを熟知している」という理由はあれど、そのクラブに勤めるハウスキャディを使う選手は少数派。

 キャディは残りの距離を測り、風を読み、グリーン上でラインを読むスペシャリストであるのはもちろん、ラウンド中に選手が唯一アドバイスを求めることができる存在としてルールで定められている。スイングコーチさながらの相棒も少なくない。

 訴えを起こした彼らが主張するのは、プロキャディは選手のパフォーマンスを高めてゴルフ界の発展に寄与しているにも関わらず、ツアー側はキャディを軽視しているという点。昨年には年金問題等を扱う組織を独自に発足させ、長期的な地位向上を図っている。

 キャディの力が、果たしてゴルファーの何ストロークに影響をもたらしているか算出するのは難しい。科学がいくら進歩しても、その解明には至らないだろう。

【次ページ】 日本でプロキャディが始めたレッスンアプリ。

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川村昌弘

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