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体制変更が最も利するのはこの男?
西川周作、待望の“ゼロスタート”。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2014/09/05 11:30
所属の浦和では、J1新記録となる7試合連続無失点を成し遂げた西川周作。
言語の壁に阻まれたザッケローニ時代。
GKコーチがイタリア語で指示を出す。それを語学堪能な川島永嗣が訳して西川や権田修一に伝える。
そんな練習中の光景は、ザッケローニ体制の首脳陣が川島に寄せる信頼度の高さを裏付けるシーンでもあった。言葉の壁という現実を感じながらも、「ピッチ上で示すこと、プレーに集中することがもっとも重要なんだ」と西川は考えただろう。
しかし、ザッケローニ監督のもとでは4年間で11試合の出場にとどまっている。第2GKの座にはたどり着いたが、川島の牙城を崩すことはできなかった。
「ピッチ上でミスが起きたとき、失点してしまったとき、僕が崩れないことが大事だと考えている。ミスのあとがもっとも重要だから」
「叱咤」よりも笑顔で「激励」するGK。
「叱咤激励」という言葉があるが、西川がチームメイトを叱咤することは珍しい。彼は仲間を激励し、笑顔で勇気づける、そんなGKだ。ピッチを離れても同じで、代表で試合に出られない日々が続いても、笑顔を絶やさない。それはブラジルでも同じだった。
「ワールドカップは、自分も4年間意識して、目指してきた大会だった。世界ともっとやりたかったという思いはあります。試合には出ていないけど、みんなと一緒に戦って悔しい思いをしました。これは4年後のW杯へ向かう自分にとって大きなモチベーションになる、非常に大事な材料になったと思います」
敗退が決まったとき、西川はそう語った。
アギーレ監督は、初戦となるウルグアイ戦前日に「できるだけ多くの選手を起用したい」と話した。ベネズエラ戦との2試合で、すべての選手を起用する可能性もほのめかしている。今回のメンバー発表会見でも「すべての選手が同じゼロからの出発だ」と、過去の実績にはとらわれない姿勢をアピールしている。