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W杯優勝国は「すでに決まっている」!
“呪い”が解けたアルゼンチン戴冠!?
text by
北條聡Satoshi Hojo
photograph byGetty Images
posted2014/06/12 10:30
本大会でも濃厚マークが予想されるメッシだが、イグアイン、アグエロ、ディマリアが並ぶ攻撃陣は大会中でも屈指。一瞬でもメッシのマークが外れれば……。
アルゼンチンと麻丘めぐみの奇妙な関係?
わたしの彼は左きき――と言えば麻丘めぐみ(古い?)だが、ワールドカップではアルゼンチンのお話と決まっている。この国に王冠がもたらされるときはいつでも「彼は左きき」だった。1978年大会で初優勝の原動力となった英雄マリオ・ケンペス、1986年大会で二度目の優勝へと導いた偉才ディエゴ・マラドーナ。しかも、二人そろってドリブル大好きの背番号10!
アルゼ、朕(メッシ)は、王なり――。
今季のメッシは負傷もあり、シーズン終盤の勝負どころでは鳴かず飛ばず。ゴール前の密集地帯へお得意のドリブルで突っ込んでいくシーンも少なかったように思う。ゴールや勝利に対して、やけに淡白な印象を受けた。バルセロナ(スペイン)のファン・サポーターや現地メディアが「どうしちゃったの?」と首を傾げるのも無理はないですね。
「アルゼンチンのメッシ」になるために。
ただ、メッシの心中を察するに、どうしても譲れなかったのでしょう、このワールドカップだけは。
世界中の誰もが認めるスーパースターでありながら、祖国の人々から微妙な視線を浴びてきた暗い過去、皮肉なストーリーにピリオドを打つ――。メッシを駆動させるには十分すぎる力(理由)かもしれない。バルセロナのメッシからアルゼンチンのメッシへ。おいそれとは口にできない覚悟と決意を、ブラジルの地で目撃することになるかもしれない。
もう法則そっちのけ、いやアルゼンチンの優勝法則という具合に話をもっていきたかっただけですが……。とにかく、1986年メキシコ大会のマラドーナと今大会のメッシがやけに重なって見えてしまう。
4年前の大会で失意を味わい、多くのベテランが去った代表でキャプテンを担い、本大会に臨む筋書きもそう。傷を負った偉才の逆襲はワールドカップの王道でもある。ワールドカップ初参戦の天才ネイマール(ブラジル)は、果たして難所を越えられるだろうか?