野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
元横浜・古木克明が格闘家デビュー。
誰が何と言おうと最高の試合だった!!
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/01/09 08:01
3ラウンドの戦いの中では何度か攻勢を見せた古木。2ラウンドでは、アームロックをほとんど極めかけていたのだが……
古木克明の野球人生はDynamite!!で完結した。
結果、3Rをフルに戦った古木は判定で負けた。格闘技ファンからすればまだまだの試合だったかもしれない。だが、古木をずっと見続けてきた冴えない野球ライターはあえて書く。古木の12年間の戦いの総決算ともいえるこの試合は、誰が何と言おうと、最高の試合だった。
「試合中は何度も心が折れそうになりましたけど、Dynamite!!のリングに立てて、応援に来てくれた方々やSMASHのメンバーに見せたかったというのもありました。みんなが僕の背中を押してくれたから、あそこまで頑張れたと思います」
試合後、端正だった顔は、減量のヤツれとボコボコにされた傷で見るも無残な姿になっていた。だが、そのコメントからは、誰も信じることができず、「頑張れ」という言葉が中傷にも聞こえていたという横浜時代の弱々しい古木の面影は微塵も感じられなかった。
ドラフト1位。プロ野球選手として、その過度の期待に応えられなかった選手は山ほどいる。だが、第二の人生でもその生き方ひとつで、腐らずに頑張って生きている姿を見せつけることで、多くの人に夢や希望を与えることはできる。それをこの闘いで古木は改めて証明してくれた。
筆者もプロ入り以来追いかけ続け、いつまでも未練たらたらだった野球選手としての古木克明について書くことは、これで終わりにする。
元プロ野球選手の肩書きが1日も早く消えることを祈りつつ、格闘家・古木克明の今後に期待したい。