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契約期間外の指導と、“オレ流”。
NPBは、今こそ明確な基準と運営を! 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byTamon Matsuzono

posted2014/01/19 08:15

契約期間外の指導と、“オレ流”。NPBは、今こそ明確な基準と運営を!<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

現役時代から“オレ流”指導には定評があるだけに、今回の騒動がもどかしい。野球協約の信頼性を取り戻すためにも、NPBにははっきりとした結論を出してほしい。

現在あるルールは、それでも守らなければならない。

 だからこの「173条」そのものが、時代に沿うものかどうか、改訂の必要があるのかどうか。今回の騒動が提起した大きな問題はそこにあるわけだ。

 ただ、である。

 その一方で、たとえ実情にそぐわなくなっているとはいえ、現状では「173条」という協約は、まだ球界における厳然としたルールである。

 そのルールを守らなければ、それなりの罰則を受けるのは当たり前で、もし落合GMの行為が抵触すると判断されるなら、NPBからの注意なり、なんらかの“処分”が出なければおかしなこととなるだろう。

 例えば昨年、球界を揺るがした統一球問題も、アグリーメントの反発係数に反するボールが使用されていたのだから、そのボールを正規のボールに変更した行為自体は正しかった。しかしいくら行為が正しくとも、正しい手続きを踏まずに、極秘裏に行なったことで責任は追及されて然るべきだったわけである。

 そう考えると偶発的だったとか、強制的ではなかったということは、根本的な問題ではないはずだ。問題は落合GMの行為そのものが野球協約違反だったのかどうか。その点をNPBは明確に示す義務があるはずなのだ。

GMやフロント関係者は「球団」に含まれるか?

 そして、ここで注目しなければならないのは、当事者である落合GMの発言である。

「オレはユニフォームを着ていない。それは監督、コーチのこと」

 この発言から落合GMも、GMという立場だからセーフで、逆に言えば同じことを監督、コーチなどのユニフォーム組がやったらアウトだと認めていることになる。要は行為そのものは「173条」に違反する指導にあたるが、行為者が協約で規定されていない立場だからセーフだという見解なのである。

 だとすれば、今度はGMないしはフロントの職員は選手の指導をしてもいいのかどうか、ということを明確にしなければならない。

「173条」は「球団又は選手は」と指導する側と指導される側を一緒に括って、ポストシーズンの禁止行為を規定している。

 常識的に考えれば、「球団」という部分にはフロント関係者も含まれるはずだ。そうでなければ例えばスカウトが新人を指導する、また前年までコーチだった人間が、フロント入りしたら選手を指導できるということになってしまう。

【次ページ】 抜け道を塞ぐためにも、はっきりさせて欲しい。

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