野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
横浜ベイスターズ最終戦を行く。
「来年もこの場所で逢いましょう!」
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2010/10/12 12:50
ユンケル2本を飲んで球場に現れた加地球団社長。
試合開始30分前に、ライトスタンドにベイスターズの加地社長が現れる。自ら横浜ファンを公言し、負け続けても毎試合のようにスタンドへ足を運んでくるこの社長の人気は、いまや揺るぎないものとなっている。連日の身売り問題の対応に追われ、多忙を極めるなか、聞くところによると、この日はユンケル2本を飲んで球場に足を運んでいたそうだ。
応援団のリードで「頑張れ、頑張れ、社長」の声援が飛ぶ中、スタンドのファンからの握手攻めに応える。この加地社長も、就任当時はどちらかと言えば批判的な意見が多かったと記憶している。でも、この人は自らの行動で支持を得た。それはファンからだけじゃない。
ある球団OBはいう。
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「これまでOBは球団から煙たがられるのが普通だったけど、加地さんは『球団の歴史を作ってきてくれた功労者』として尊敬してくれているのを感じます。何事をやるにもファンのこと、ベイスターズのことを考えている真剣さが伝わってくるし、この人の言葉は信じられる。『男にしてあげたい』と思わせる人ですよ」
電通時代にはシーズンチケットを取っていたというぐらいの生粋の横浜ファン、加地社長がスタンドを去ると、グラウンドでは最終戦恒例の番記者対抗スピードガンコンテストがはじまる。
TBS、TBSラジオにも及んだ容赦のないブーイング。
日本テレビの番記者にブーイングが飛ぶ。これはある意味お約束なのだからしょうがない。しかし、容赦のないブーイングはTBS、TBSラジオにも飛んだ。
気持ちはわからないでもないが、なんだか申し訳がない。
ライトスタンドにいた女性ファンが言う。
「TBSが引き取り手のない球団を拾ってくれたことには感謝しています。いろいろとファンサービスなり、イベントなりを企画してくれたこと。日曜の朝5時のベイスターズの冠番組や、ファンでもないみのもんたが『朝ズバッ!』で毎日ベイスターズを取り上げていてくれたこと。本社が赤字経営でも、お金だってちゃんと出してくれていたこと。本当にありがたいと思うんだけど……」
だが、ファンからの支持はびっくりするほどなかった。